株式会社RABO 獣医師
獣医師。救急医療を中心に従事し、災害医療にも携わる。宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長を経て、現在RABOに所属。Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。
猫の血便は、主に消化器に異常があるサインです。ストレスや食べ過ぎ、体質などが原因のこともありますが、消化管の腫瘍などの重篤な病気の可能性もあります。 治療法や見分け方、血便が見られたときの対処法をまとめて紹介します。ぜひ愛猫の健康管理の参考にしてください。
監修した専門家
株式会社RABO 獣医師
獣医師。救急医療を中心に従事し、災害医療にも携わる。宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長を経て、現在RABOに所属。Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。
動物病院勤務 獣医師
獣医師。公務員獣医師として家畜防疫、牛の改良繁殖に携わる。その後はアミカペットクリニック、アカデメイア動物病院にて小動物臨床に従事。株式会社RABOにてWebコンテンツの監修も行っている。
血便とは、便に血が混ざっている状態です。便の硬さにかかわらず、血便が見られたときは何らかの異常が生じていると判断できます。 なるべく早く動物病院を受診し、原因を突き止め、必要に応じて治療を開始するようにしましょう。
血便は主に消化器に異常があるサインです。
明るい赤色:結腸や直腸、肛門など出口近くでの出血
赤黒い色:肛門から遠い消化器での出血(胃や十二指腸など)
このように、血便の色によっても、異常部位をおおまかに推測できます。
元気はあるけれども血便が出る場合もあります。一時的かつ軽度なものであれば緊急性は比較的低いこともあり、例えば便がいつもより硬い、大きい場合などには肛門付近で出血し、表面にうっすら血がつくことがあります。
しかし、当然ながらどこかに異常があるのはほぼ間違いなく、元気があるから安心、というわけにもいきません。 例えば、悪性腫瘍などにより、腸から出血しているけれども痛みなどの症状がない場合もあり、こうした異常を見逃しかねません。
猫に血便が見られたときに考えられる主な病気と症状を紹介します。
軟便や下痢に血液が混ざっているときや、血便と一緒に白っぽい透明で粘膜状のものが出ている場合には、腸炎などが考えられます。
腸炎のときは、血便以外に食欲低下も見られることがあります。便の回数が増えて、「はじめは普通の便だけど、3回目くらいにドロッとした粘液だけ出た…」といった症状も見られます。何度も排便の姿勢をとり、ほぼ液状の便を少量ずつ出す「しぶり」の症状がみられることもありますね。
さらに同時に胃や十二指腸にも炎症が起きている場合もあり、嘔吐もみられるます。状況を正確に観察し、すぐに病院を受診するようにしましょう。
ポリープ(良性の腫瘍)などの腫瘍がある場合には、慢性的に便の周りに血がついていたり、軟便や下痢に血が混ざることもあります。腫瘍の大きさや生じている場所、出血の量などによって血便の見た目や頻度が変わります。
病気以外の理由では、引越しやホテルに預けるといった、環境の変化などのストレスが原因になることもあります。 外の環境だけでなく、体内の環境(おなかの環境)の変化もあり得るのですが、これはフードの急な変更や、抗生物質などで腸内細菌バランスが崩れることでも起こります。
結果的に腸炎につながってしまった場合は、下痢だけでなく血便のように出血することもあるのです。