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猫の膀胱炎を獣医師が完全解説。50%が1年以内に再発。レントゲンやエコー写真も紹介

猫の膀胱炎を獣医師が完全解説。50%が1年以内に再発。レントゲンやエコー写真も紹介

ヘルスケア
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愛猫のおしっこの色が赤い!なんだか頻度が多いような…?おしっこが正常にできていないと、「何か病気になっていないかな?」「膀胱炎ってどんな病気?」と心配になりますよね。そこで今回は、膀胱炎の原因として考えられるものや、症状などについて詳しく紹介します。

<この記事のポイント> ・全年齢で気をつけるべき病気で、再発も多い ・原因は複数あり。感染・結石・原因不明など ・二次的に起こる「尿道閉塞」は、命に関わる ・膀胱炎は治せる病気 ・療法食は、長期間続けましょう


監修した専門家

小川 篤志

小川 篤志

株式会社RABO 獣医師

獣医師。救急医療を中心に従事し、災害医療にも携わる。宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長を経て、現在RABOに所属。Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。

別府 雅彦

別府 雅彦

アリアスペットクリニック 院長 / 臨床獣医師

神奈川県の地域中核病院でジェネラリストとして経験を積みながら、学会発表も行う。2019年アメリカ獣医内科学会で口頭発表。アニコムホールディングスに入社後は#stayanicomプロジェクトの中心メンバーとしてコロナ禍のペット救護に当たる。2020年から現職。得意分野は運動器疾患、猫使い(使われ)。

中山 舞

中山 舞

いろどり往診動物病院 獣医師

獣医師。都内動物病院・ペット保険会社での経験を経て往診専門の動物病院を開業。緩和ケアや看取りを中心に、ペットが大好きな家族と過ごす時間のサポートに力を入れている。


そもそも膀胱炎とは?

ブランケットにくるまる猫

膀胱炎とは、さまざまな理由で膀胱の内側に炎症が起きてしまう病気のことです。「頻尿(何度もおしっこにいく)」や「血尿(赤いおしっこ)」といった症状が一般的で、一度おさまっても繰り返すことがある厄介な病気です。場合によっては「難治化」と言って、治りづらい状態になってしまうこともあります。

ちなみに、膀胱炎と並んでよく目にする言葉として「猫下部尿路疾患(FLUTD)」という病気がありますね。これは下部尿路(膀胱から尿道)に起こる疾患の総称で、膀胱炎を含み、頻尿や血尿など似た症状が見られる病気をまとめた呼び方です。膀胱炎の他には、尿路結石(尿石症)、膀胱にできる腫瘍、尿道炎などが含まれ、これらが併発することもあります。猫全体の約14%が、この猫下部尿路疾患にかかっているといわれています。

本当に多い! 猫の膀胱炎

ペット保険のアニコム損保が、保険金請求件数の多かった疾患について調査したところ、0~6歳の若齢期では、膀胱炎は腎不全に次ぐ2位。7~19歳のシニア期でも3位となっており、猫の一生を通じて注意したい病気であることがわかります。

猫の膀胱炎の特徴として、原因不明で起こる特発性膀胱炎が膀胱炎全体の50%以上を占めているとされており、そのうち18~58%は、命にも関わる尿道閉塞(後述を参照)を引き起こすという研究結果も報告されているようです。

また猫の下部尿路疾患において、若い猫では特発性膀胱炎が多く、高齢の猫では尿路感染が増えることが報告されています。

しかも、半数が1年以内に再発する

猫が膀胱炎に注意しなければならないもう一つの理由が、一度治っても安心できないという点です。ある研究では、特発性膀胱炎にかかった猫のうち、39〜65%が6〜12ヶ月以内に再発すると報告されています。わかりやすくいうと「膀胱炎にかかった猫では、約半数が1年以内に再発する」と言えるほど、再発しやすい病気なのです。

猫が膀胱炎を起こす原因

猫が膀胱炎を起こす原因として代表的なものは、細菌感染や膀胱結石などです。ただし、これらは「原因が分かるケース」で、主に高齢の猫で見られます。比較的まれですが、若い猫でも原因となることがあります。

猫下部尿路疾患の年齢による違い

円グラフ 01

参考:Dorsch R,Tierärztliche Praxis. Ausgabe K, Kleintiere/Heimtiere 2014

感染が原因の「感染性膀胱炎」

大腸菌などが尿道を通じて膀胱に侵入することで、細菌性膀胱炎を起こします。膀胱に付着した細菌が繁殖し、炎症を引き起こします。においがきつくなることが多く、濁った尿(混濁尿、膿尿)も見られることがあります。

結石が原因の膀胱炎

膀胱内にできた結石や結晶が原因で起こる膀胱炎もあります。主に食事や体質などが原因で、膀胱内に結石ができてしまい、それらが膀胱内に炎症を引き起こします。

結晶の段階ではおしっこと一緒に結晶が出ることも多く、砂のような粒がきらきらと見えることもあります。石のように固まり始めると結石と呼ばれますが、何も治療をしないとずっと残るため、常にコロコロと膀胱内を転がることで痛みや出血を起こします。

原因不明の「特発性膀胱炎」も多い

原因がわからないものもあります。実はこれが猫の膀胱炎の厄介なところですが、「症状はあるのに検査をしても原因が分からない」というケースも多く、特発性膀胱炎と呼ばれます。突発性(とっぱつせい)ではなく特発性(とくはつせい)です。特発性とは「原因がわからない」という意味で使われます。つまり、感染もないし結石もない。ほかに原因が見当たらない、という時にこの病名が使われます。

これは、特に6歳未満の若い猫に多く、ストレスや体質などが関わっているとされています。グラフを見てもわかるとおり、特発性膀胱炎は若い猫ではとても多い病気なのです。

膀胱炎の主な症状|おしっこの様子を観察すれば気づけるかもしれません

主な症状は以下のものが挙げられます。

頻尿 (何度もトイレに入る) ・血尿 (おしっこに血が混じる) ・排尿痛 (おしっこの姿勢で痛そうに鳴く) ・トイレ以外の場所でおしっこをする 

他にも、細菌が感染していればおしっこの色が白く濁ったりします。尿に結晶が混ざっている場合にはペットシーツにキラキラした結晶が残ることもあります。

関連記事:猫のおしっこから健康チェックする方法|不調を判断するポイントも紹介

なぜ頻尿になるのか?

膀胱内に溜まったおしっこのイメージ

画像:膀胱炎を起こした猫のエコー写真。細胞やごみなどがきらきらと膀胱内を漂っているのがわかる。膀胱炎が進行すると、たびたび起きる炎症で膀胱の境界線である膀胱壁が厚くなっていく

ところで、なぜ膀胱炎になると頻尿(何度もトイレに行く症状)になるのか不思議に思ったことはありませんか? これは「冬場のくちびる」に例えるとイメージしやすいです。冬にくちびるが乾燥しているとき、「ニィー!」と笑うようにくちびるを引き伸ばすと、ピリっと痛みが走りますよね。これと同じく、膀胱内で炎症を起こしていると、膀胱に尿が少し溜まるだけで、引き伸ばされた膀胱に刺激が走り、「おしっこを出そう」と判断します。なので、「少量のおしっこを頻繁にする」という頻尿の症状が起きるのです。

最も注意すべきは「尿道閉塞」。通称、尿閉(にょうへい)。

尿道閉塞のイメージ

画像:尿道閉塞を起こした猫のレントゲン写真。お腹の半分ほどを膀胱が占めてしまうほどぱんぱんになっている様子がわかります

膀胱炎は、基本的に致死的な状態になることは稀です。しばらく頻尿や血尿や痛みが出るくらいで、亡くなることはありません。しかし、尿道閉塞は違います。膀胱炎や膀胱結石によって二次的に起こる症状の一つで、おしっこが詰まってしまう(つまり、おしっこが出なくなってしまう)状態になります。

尿道閉塞とは、尿の道である尿道が結石などにより詰まってしまい、出したくても尿が出せない状態を言います。主に尿道が狭く曲がりくねっているオス猫に多く見られます。

尿道が詰まってしまうと、本来捨てる必要がある体の老廃物が捨てられなくなります。例えば、カリウムはその代表例ですが、多すぎるカリウムには心臓を止めてしまう作用があります。もちろん、物理的におしっこが溜まりすぎることで、水風船が割れるように膀胱破裂を起こすこともあります。破裂せずとも、腎臓に大きな負担がかかることで急性腎不全を起こすこともあります。こうした結果、死に至ることもあるのです。半日〜1日程度おしっこが出ていない(出したくても出せない)症状が見られた場合は、即病院に連れていってください。

頻尿に早く気付こう。毎日のトイレ回数をアプリでチェック

特に、膀胱炎になったことがある猫と暮らす方は再発に早く気づくためにも頻尿や血尿といった兆候に早く気づくことが望まれます。でも、毎日トイレの回数をメモしたりするのは難しいですよね。Catlog Boardは、トイレの下に置くだけでおしっこの回数や量、体重を自動で記録することができます。いつものようすとは異なるデータがあれば、アプリでお知らせしてくれます。

  • おしっこ・うんちの回数、 トイレ滞在時間、体重が分かる
  • いつものトイレの下に置くだけ 自動で計測し変化を通知
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Catlogアプリを実際にさわってみる

Catlogアプリのデモをご体験いただくことで、実際に愛猫の行動やコンディションがどのように記録され表示されるかがイメージしていただきやすくなります。 デモ画面では、画面上での補足説明もあるため使用感を簡単にご体験いただけます。ぜひ一度お試しください。

治療法は水とご飯と薬。特に療法食は長く続けよう

膀胱炎の治療方法は原因によって様々ですが、基本的には「膀胱をきれいにする」ことが目標です。具体的な方法については、以下のとおりです。

<膀胱炎の治療法>

  • 抗生剤(抗生物質)

  • 療法食

  • 止血剤

  • その他

抗生剤(抗生物質)

検査の結果おしっこの中に細菌が見つかり、細菌感染による膀胱炎が疑われた場合は、抗生剤(抗生物質)が処方されます。どの薬が効くかを調べてから投与することが理想的ですが、結果が出るまでに時間がかかるため、まずは広くいろんな細菌に効果のある薬が使われることが一般的です。薬は基本的に飲み薬ですが、猫が薬を飲めない場合などは、注射によって薬の投与を行うこともあります。

なかなか改善が見られない場合には、おしっこの中の細菌培養検査の結果を受けて、使用する抗生剤の種類を再検討することもあります。

注意したいことは、獣医師の指定した期間はきちんと薬を飲み切るということです。症状が収まったからといって薬を中断してしまうと、生き残った細菌が再び増殖し、今度は同じ薬が効かない、という状況に陥る可能性があります。きちんと指示を守りましょう。  

療法食(医療用フード)

療法食によって治療が行われることも多いです。療法食は、主に動物病院で処方されます。

尿が濃いと結石ができやすくなったり、傷ついた膀胱の粘膜を刺激したりする場合があるため、療法食は少しだけ塩分量が多くなっており、猫が自発的に水分を多くとるよう設計されています。そうすることで尿量が増え、はやく膀胱内を洗い流すことができるように作られています。また、ウェットフードもよく処方されます。こちらも水分量を多くとるということが目的であることが多いです。「早く洗い流す」ということがとても重要で、とにかく膀胱の中をきれいにしておくというのが基本の治療法になります。

結石があるときは、療法食が特に大事

膀胱結石がある猫では、積極的に療法食が処方されます。石の種類によっては、食事の成分を変えることでおしっこの成分(pH)が変わり、結石が溶けることがあるからです。ストラバイトなど、療法食によって溶けるタイプの結石では、かなり大きな結石でも、手術なしに療法食だけで溶けてしまうこともあるので、非常に大事な治療法になります。

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治ったから終わり、にはしない

前述の通り、膀胱炎の半数は1年に再発しています。一時的に治っても多くが再発することを考えると、療法食はできるだけ長くつづけることが推奨されます。一旦、病状が安定すれば「維持期用」の療法食に切り替えることができます。すぐに元のご飯には戻さず、しばらく療法食を続けましょう。

止血剤

血尿が出た場合には、出血を抑えるために止血剤を服薬する場合があります。膀胱炎では、貧血になるほど大量に出血することは考えにくいですが、膀胱の中で血が固まると尿道に詰まってしまう場合があるため、予防の意味でも使用します。

その他

猫にたくさんの水を飲んでもらうことは簡単ではありませんが、水分をしっかり取っておしっこをたくさん出すことは、膀胱炎の治療の基本となります。このため、皮下補液(水分や電解質などを皮下に直接投与)が行われることがあります。また、排尿時に痛みがある場合には痛み止めの薬を使う場合があります。ストレスが原因として疑われる場合には抗うつ剤や、心を穏やかにするサプリメント、猫が安心する揮発性のフェロモン剤などが提案される場合もあります。

原因を見極めて適切な治療をおこなうには、病院での検査だけでなく、家での過ごし方や生活環境についてもしっかり検討する必要があります。特に特発性膀胱炎の場合は、猫のトイレ環境や居住スペースの改善がもっとも重要とされています。

「いつものおしっこの仕方と何が違うか」「トイレを嫌がっている様子は無いか」などを獣医師に説明できるよう、把握しておきましょう。

膀胱炎は治ります。多くは完治まで数週間

原因がはっきり分かっており、適切な治療がなされれば1〜2週間で症状の改善がみられることが多いです。長くても2ヶ月あればおおよそ病状は安定するでしょう。

特発性膀胱炎の場合も、症状自体は1週間程度でおさまるケースが多いです。ただ、軽症であってもその後に再発を繰り返すケースも多いので油断はできません。

尿道閉塞には引き続き注意

原因に関わらず(特にオス猫の場合)、尿道閉塞になる可能性は常に頭に入れておきましょう。治療が遅れた場合は急性腎不全や尿毒症などで命を落としてしまう可能性があります。回復してからも腎臓に障害が残る可能性もあるため、「ちゃんとおしっこが出ているか」は予後に大きく影響します。しっかり観察しておきましょう。

難治性膀胱炎や手術が必要な場合は、長引くことも

抗生物質が効きにくい耐性菌に感染している場合や、感染が腎臓にまで拡がっている場合には重篤化したり、治療が長期化する場合があります。また、難治性膀胱炎という治りづらい膀胱炎もあります。長い間血尿が続き、ひどい場合には貧血を起こすほど出血が続くことがあります。膀胱の中はいつも液体で満たされているため、止血しづらいことも理由と考えられます。

結石を伴う膀胱炎の場合は、結石のサイズや種類によって変わってきます。一時的に療法食にするだけで管理できる場合もあれば、手術が必要となるケースまで様々です。

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猫の膀胱炎で起きやすい症状(サイン)

猫砂をかく猫

ここまで、膀胱炎の概要を説明しました。早く異変に気付いて、治療してあげることの大切さをご理解いただけたでしょうか?

次に、猫の膀胱炎で起きやすい症状(サイン)について紹介します。よく観察していないと気付きにくいもの、他の病気と似ているものなど様々です。すでに猫のおしっこの様子に異変を感じている飼い主さんは、あてはまるものが無いかチェックしてみてください。

血尿などおしっこがいつもと違う

おしっこのニオイがいつもよりきつい、おしっこの色が白く濁る(膿っぽい)など、いつもと違う状態であれば要注意です。血尿が出ているときは、おしっこの全体または一部が赤やピンク、茶色になっていたり、血のかたまりが混ざっている場合もあります。

結石や結晶が尿に混ざると、おしっこをした後の猫砂やペットシーツにキラキラ光るものが見えることもあります。トイレを掃除するとき、砂やシーツの様子を観察する習慣をつけましょう。

また外に出る猫の場合は膀胱炎ではなく、事故などによる外傷、膀胱破裂、骨盤骨折などでも尿に血が混じる可能性があります。食欲や歩き方なども含めて、よりいっそうの注意が必要です。

血尿については下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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おしっこの頻度が増える

いつもよりおしっこの回数が多い、さっき行っていたのにまたトイレに行っている、などの行動が見られる場合は、頻尿の症状が出ている可能性があります。また、1回のおしっこの量が少ない場合も注意が必要です。

これは膀胱内に炎症があることによって、おしっこが少し溜まる(膀胱がふくらむ)だけでも刺激を感じてしまうことが原因です。排尿時に痛がって声を上げる場合もあります。

少しずつでも出ているのか、全く出ていないかによって緊急度が大きく異なります。よく観察しましょう。どちらにせよ、特にオスの場合はいつ詰まってしまうか分かりません。早めに動物病院を受診しましょう。

逆に治療の結果、頻度が減って1回量が増えてきたら、回復に向かっているサインです。根気強く治療してあげましょう。

トイレを失敗してしまう

膀胱炎による残尿感で、トイレが間に合わず粗相してしまうのも症状の1つです。うまく排尿をコントロールできずに尿がぽたぽた垂れていることなどもあるので、部屋の中におしっこの形跡がないかをチェックしましょう。

また陰部や下腹部をよくなめる、いつも気にしてそわそわ落ち着きがない、などの行動にも注意が必要です。残尿感が気になっている、もしくは膀胱の炎症による痛み・不快感があると考えられるため、よく猫を観察しましょう。

膀胱炎以外の原因で粗相をしている場合もあります。トイレ以外に出す1回のおしっこの量が多いときにはトイレが気に入らず、わざと外にしている可能性があります。あるいは1度失敗したときのニオイがカーペットなどに残っており、「ここもおしっこしていい場所だ!」と認識している場合もあるでしょう。また避妊・去勢手術をしていなければ、発情に関連したマーキング行動というケースもあります。頻尿や血尿など、他の症状が出ていないかと合わせて観察してみましょう。

尿道が詰まってしまうことも(緊急事態です!!)

排尿履歴のイメー�ジ

(画像:Catlog Boardによる排尿履歴のアプリ画面。何度もトイレに入り、おしっこを出そうとしているようですが、1分近く滞在してもおしっこが出ていない様子がわかります。)

尿道が太いメスではあまり見られませんが、尿道が細く曲がりくねっているオスでは、尿道閉塞の可能性を常に頭に置いておきましょう。膀胱炎によって尿中に大量に出た炎症細胞や膀胱の粘膜、血のかたまり、結晶などが尿道を詰まらせてしまいます。またおしっこが出ない不快感や痛みなどからペニスをかじってしまい、先端が真っ赤に腫れて尿が出にくくなるケースもあります。

完全に閉塞して尿が出せない状態が続くと、尿道・膀胱破裂のほか、腎臓に圧力がかかってダメージを与え、急性腎不全や尿毒症を引き起こすこともあるのです。

「おしっこが出ていない」「トイレにずっと入っている」「トイレでずっと鳴いている」ような場合は、翌日まで待てる余裕は無いかもしれません。すぐに動物病院に向かいましょう。

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膀胱炎が起きる原因とは?

食事をする猫

膀胱炎は原因に応じた対策をとることで、再発を予防したり頻度を減らしたりできる可能性があります。普段からどんなことに気を付けていればいいかを知るために、原因について詳しく知っておきましょう。

細菌による感染

おしっこの出口である尿道口は「濡れている」「やわらかい粘膜」「外の環境に直接触れる」といった理由から、細菌の侵入が起こりやすい場所です。しかし、通常であれば細菌が尿道や膀胱へ侵入・増殖しないための防御機能が働いています。代表的な例は以下のとおりです。

 ・尿の勢いで細菌を外に洗い流す  ・濃縮された尿が細菌の繁殖を抑える  ・膀胱粘膜の表面を覆うバリア層(GAG層)  ・細菌をやっつける、いわゆる「免疫力」

これらの防御機能に対して、「防御が弱まってしまうケース」は以下のものが挙げられます。

 ・尿が出せないトラブル(脱水、神経異常、腫瘍など)  ・腎不全(尿が薄くなる)  ・糖尿病(糖分で細菌が増えやすい)  ・免疫力の低下(高齢、ストレス、猫エイズなど)  ・遺伝や体質(バリア層が薄いまたは欠損している、ストレスに弱い)

さらにメスは肛門と尿道口が近く、下痢などで腸内細菌が侵入しやすいため注意が必要です。特に高齢の猫では注意が必要ですが、若い猫でも疲労やストレスなどで防御機能が衰えた場合、菌が侵入することがあります。

関連記事:【獣医師が徹底解説】猫エイズの感染経路や症状、予防法など紹介。猫白血病との違いも解説

結晶や結石による炎症

おしっこには、体から排出された余分なミネラルが含まれています。このミネラルなどの成分が固まったものが結晶であり、結晶や他の有機物などがくっついて肉眼で見えるほど大きくなったものは結石と呼ばれます。膀胱炎は、この結晶や結石が膀胱の内側をコロコロ転がって傷つけることでも発症します。

結晶・結石ができるかどうかは、体質や遺伝、食事、尿のpHなどが関与していると考えられています。結晶・結石の種類によって食事療法が有効な場合、手術による摘出が必要な場合など様々です。尿石症と診断された場合には、定期的に動物病院を受診して尿や膀胱の状態をチェックしましょう。

その他の要因(特発性膀胱炎)

「特発性」は原因が特定できない、もしくは不明という意味があります。膀胱炎の症状は見られるものの、検査をしても原因が見つからない場合に特発性膀胱炎と診断されます。

10才未満の猫では膀胱炎の6割以上が特発性と言われていますが、ハッキリとした原因は分かっていません。また尿の濃縮や神経の異常、ストレスに対する体の反応の異常、膀胱粘膜(GAG層)の異常、肥満などがリスクとして挙げられていますが、「これをすれば治る!」という確実な治療法が無いのが現状です。そのため完治ではなく「症状を軽くする」「発症の頻度を下げる」ことが治療の目的とされており、主な方法は生活環境の改善、ストレスの軽減です。トイレを猫の好みに合わせる、トイレを複数用意する、多頭飼いを避ける、穏やかに過ごせる場所を用意する、ストレス解消を試みるなど、動物病院での治療よりも自宅での日常ケアが重要です。猫がストレスを感じていないか、日々の様子をしっかり観察してあげましょう。

また膀胱腫瘍が原因で膀胱炎が起こることもあります。この場合は薬でガンの侵攻や症状をおさえるか、手術で摘出するなどの治療法がとられます。感染や結石と比べると比較的まれなケースですが、特に高齢猫の場合は注意が必要です。

膀胱炎にCatlogを使うという新しい付き合い方

Catlog Board(キャトログボード)

猫の膀胱炎では頻尿や血尿といった症状を早く見つけること、見逃さないことが重要です。またストレスを与えないこと、トイレ環境を整えること、そして水分をたくさんとらせることなど大切です。これらの猫の健康管理には、Catlog Board(キャトログボード)Catlog(キャトログ)がおすすめです。

Catlog Boardは、トイレの下に置くだけで排泄状況を計測できるデバイスです。おしっこの回数・量・トイレの滞在時間を自動で記録できます。膀胱のトラブルでは、おしっこの回数が急に増えることが多くあり、Catlog Boardを使うことでこうした回数をモニタリングすることが大事です。「先週よりおしっこ回数が増えているようです」など、いつもと違う傾向があるときは、アプリ通知でお知らせする機能もあります。こうした日々のデータは、グラフで確認でき、変化のあった日も分かりやすく表示されます。

トイレの入室回数もわかるため、「何度もトイレに入っているけど、おしっこが出ていない!」といった緊急状態にも気付くことができるかもしれません。

また、おしっこの排泄情報だけでなく、うんちの情報や、体重まで自動で計測し、記録してくれます。猫様との生活の上では、日々の健康管理には欠かせないデバイスですね。

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首輪型デバイスであるCatlogは、「食事・水飲み・走る・歩く・寝る・くつろぐ・毛づくろい」の合計7種類の行動を記録することができます。膀胱炎の痛みや残尿感のせいでくつろぐ時間が減り、そわそわ歩き回っていることもあるかもしれません。また水飲みも重要です。外出先など目が離れる時にも、きちんと飲めているかを確認出来て安心です。多頭飼いの場合でも、誰が飲んでいるのかしっかり把握できますよ。

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まとめ

エリザベスカラーをした猫

今回は、猫の膀胱炎について、考えられる原因や起きやすい症状、治療法などについて詳しく紹介しました。膀胱炎は原因も症状の重さも様々で、適切な治療のためには日々のおしっこの様子をしっかり観察すること、猫に合わせた根気強いケアや環境改善が必要です。

特に大事なことはトイレに入っているかどうかではなく、「おしっこがでているかどうか」です。オス猫の場合はあっという間に命に係わる状況になってしまうことを覚えておいてください。

少しでも不安を感じる部分があれば、できる限り早めに動物病院を受診することをおすすめします。

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ライター

小川 篤志

小川 篤志

獣医師。救急医療を中心に従事し、災害医療にも携わる。宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長を経て、現在RABOに所属。Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。


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