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猫の元気がだんだんなくなってきた? 原因、対処法などを獣医師が解説

猫の元気がだんだんなくなってきた? 原因、対処法などを獣医師が解説

ヘルスケア
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猫は体調の変化を隠しやすい生き物であるにもにもかかわらず、猫の元気がなくなったり、動きがにぶくなったりすると心配ですよね。加齢に伴うものもあれば、病気が原因なこともあります。また、急に元気がなくなったことは気づきやすくても、数週間〜数ヶ月をかけて徐々に元気がなくなってくることに気づくのは簡単ではありません。今回は、「ゆるやかに猫の元気がなくなってきたとき」の原因や対処法などをご紹介していきます。

監修した専門家

小川 篤志

小川 篤志

獣医師。救急医療を中心に従事し、災害医療にも携わる。宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長を経て、現在RABOに所属。Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。

「猫の元気がない」とは、どんな状態なのか?

いつもと比べて元気がない、ぐったりとしていて動きづらそう…そんな「なんとなく調子が悪そう」な状態を目にしたご経験のある方も多いはず。元気が落ちることはどんな病気でもどんな猫でも起きうるものですが、数週間、ときに数ヶ月にわたって少しずつ元気がなくなってくる場合は、その事実に気づきにくいのは当然です。

だからこそ、実は「元気がない」という症状は、獣医療の中でも最重要の指標の一つであり、飼い主として気づいてあげたい症状の一つなのです。

「元気」は猫の体調判断における最重要ポイント!

獣医学的には、元気がない状態のことを「元気の低下」や「元気消失」、「元気消退」などと表現します。

獣医療は、人医療のように自覚症状をもとに診療できない分、飼い主や獣医師から見た他覚的な評価が大事です。その中でも「元気」は猫の活動状態や精神状態のバロメーターとして判断できるため、最も重要な指標の一つです。

活動量(≒元気)を把握するのが難しい、という方にはCatlog(キャトログ)がおすすめ

Catlog 基本セット

元気の指標でもある活動量ですが、なかなかいつもの活動量を把握することは難しいですし、どうしても「なんとなく」でしか判断できないことも多いですよね(ご家族の間でも見解が割れることさえ多くあります)。毎日一緒に過ごしているからこそ、長期的な変化を把握するのはさらに難しくなります。

しかし、猫の具合が悪くなった場合には、「いつから具合が悪くなったのか」や「いつもと比べてどのくらい元気がないのか」を正確に獣医師に伝えることが重要です。

Catlog(キャトログ)は、首輪型のデバイスで24時間365日猫の活動量を見守ることができます。今日の活動量を計測しつづけることで、先月と比べてどのくらい活動量が増減しているのか、ということもひと目でわかります。活動量を把握することが難しい、猫が高齢のためもっと正確に把握しておきたい、などの場合はCatlogをご検討ください。

Catlogについて詳しくはこちら

ゆるやかに元気がなくなっているとは、どういう状況?

数週間〜数ヶ月かけて元気がなくなっている、という状態のイメージがつきにくいかもしれませんので、「ゆるやかな元気消失」には、どういった例があるかをご紹介します。

<ゆるやかに元気がなくなっている時の例>

・走ったり歩いたりする時間が徐々に減り、寝ている時間が増えている

・以前のようにご飯のときに駆け寄ってこようとしない

・階段や高いところに登る頻度が減った

・楽しいはずのことを楽しまず、じっと眺めているだけで動かない

・おもちゃで遊ぼうとしても、気乗りしないことが増えた

なぜ、だんだん元気がなくなってしまうのか?

元気がない、ということはなんらかの体調不良のシグナルを訴えているかもしれません。それも慢性的に抱えるトラブルの可能性があります

<ゆるやかに元気がなくなっていきやすい場合>

・どこかに痛さがあり、おさまらない

・気持ちが悪い

・身体にだるさがある

・慢性的にストレスを抱えている

・季節の変化(気温など)

・加齢

数週間以上かけて、ゆるやかに元気がなくなっている時の原因

ここでは「ゆるやかに」の定義を「数週間〜数ヶ月」とおいて考えてみます。時間をかけて徐々に元気がなくなるということは、急激に症状を起こす急性疾患は考えづらそうです。どちらかというと、大きな病状は出さないが治りづらい病気や、慢性的に進行するため気づきにくい病気などが隠れている可能性の方が高そうですよね。

とはいえ、元気消失はどのような病気の時にも起きる可能性がありますし、時に身体の異常ではなく、精神的なストレスや加齢が原因でも起こることがあります。もちろん、病気やトラブルとは無関係のこと(季節の変化など)もあります。

<ゆるやかに元気がなくなる原因の一例>

原因

元気消失以外の症状

①疾患(病気)

胃腸系の疾患(慢性胃炎、慢性腸炎、慢性膵炎など)

食欲不振、嘔吐、下痢、腹痛、食の好みの変化など

慢性腎臓病

体重減少、食欲不振、口臭、多飲多尿、毛並みの変化など

膀胱炎

頻尿、血尿など

糖尿病

多飲多尿、食欲不振、多食、体重減少など

心筋症

食欲不振、嘔吐、開口呼吸など

猫喘息

咳、呼吸困難

感染症(猫エイズウイルス感染症、猫カゼなど)

発熱、くしゃみ、鼻水、咳など

炎症性疾患

発熱、痛みなど

腫瘍

食欲不振、下痢、嘔吐など

②ストレス

環境の変化(引っ越し、来客、新猫のお迎えなど)

食欲不振、隠れている、排泄を控えるなど

騒音(カミナリ、工事など)

食欲不振、音に過敏になるなど

③その他

加齢

遊ばない、寝てばかりいるなど

季節の変化

食欲不振、寝てばかりいるなど

① 疾患(病気)

徐々に元気がなくなってきているとき、原因としてまず考えておく必要があることは、病気による元気消失です。ほとんど全ての疾患で起こり得るものですが、慢性的に症状が続くような病気が隠れている可能性があるのです。

経過が長くなるほど「いつもこんなものかな?」と、病気であることに気づきづらくなりますので、注意しましょう。以下は、一例として参考にしてください。

胃腸系の疾患

胃腸など消化に関係する病気が原因で元気がなくなってしまうことは多くあります。慢性胃炎や慢性腸炎などは一般的で、激しい嘔吐や下痢・腹痛など、そこまで大きな症状はなくとも、じわじわとした痛みや気持ちの悪さが続くことで、元気がなくなってくることがあります。消化に関わる膵臓に炎症を起こす慢性膵炎も、同様の症状が見られることがあります。

こうした病気では、食欲不振を始め、うんちのゆるさや嘔吐が同時に起こることもあります。以前からフードや胃液を吐きやすい猫の場合であっても、その頻度が増えてきた時には注意しましょう。

慢性腎臓病

猫で最も注意しなければいけないのがこの慢性腎臓病です。慢性というくらいですので、徐々に進行していく病気ですが、特に目立った症状はないままであることも多く、気づいたら元気がなくなっていて、病院で診療を受けると慢性腎臓病とわかった、というケースはめずらしくありません。

この場合、食欲不振や、体重の減少、多飲多尿(たくさんお水を飲み、大量におしっこをする)といった症状が見られることが多いです。また毛並みが悪くなったり、口臭が気になる場合にも注意が必要です。

膀胱炎

慢性腎臓病と同じく、注意する必要があるのが膀胱炎です。通常はそれほど長引かない病気ですが、長い時間をかけて元気がなくなるということは、それだけ治りにくい状態にあるかもしれません。

血尿や頻尿といったサインも多くみられますので、こうしたサインがないかもチェックしてみましょう。トイレの掃除をするときは、1回ごとの尿量、ニオイの変化などにも注意してみましょう。

糖尿病

猫に多い病気の一つに、糖尿病があります。これも慢性的に進行していく病気であるため、徐々に元気がなくなっていくことがあります。肥満が原因になることもありますので、ぽっちゃりしている猫では特に注意してください。

その他に糖尿病でみられやすい症状は、食欲不振、体重の減少、多飲多尿(たくさんお水を飲み、大量におしっこをする)などです。

心筋症

猫に多い肥大型心筋症(HCM)は、時間をかけてゆるやかに進行していく病気です。心臓(特に左側)が頑張りすぎてしまい筋肉が肥大することで、心臓の内部が狭くなってしまいます。これにより、全身に血液が十分に送れなくなり、循環が悪化する病気です。

ですので、運動不耐性といって、活動量が減少したり走ることをしなくなったりする症状がみられやすく、また、呼吸が荒くなったり咳が出るなどの症状も併せて起こすことがあります。

猫喘息

なんらかの原因によって喘息症状が起き、咳や呼吸困難を起こします。猫の咳はわかりにくく「ヒィーッ、ヒィーッ」という独特な音がするのですが、猫は咳を我慢してしまいやすく、一見ただ元気がないだけのように見えることもあります。発作のように30秒から1分ほどで咳はおさまりますが、「以前よりも頻度が増えてきたかな?」という場合は要注意です。

感染症

主に、外で生活する猫や多頭飼育される猫で起きやすい感染症ですが、例えば猫カゼと言われる猫ヘルペスウイルス感染症、猫カリシウイルス感染症は、元気消失をはじめ、食欲不振やくしゃみ、鼻水、目やにを引き起こします。

猫エイズウイルス感染症(FIV)や、猫白血病ウイルス感染症(FeLV)では、感染後のあらゆる時期に元気を低下させる可能性があります。免疫力が低下し、「病気がち」な状態になってしまうためです。

もちろん、これらに限らずほとんどの感染症でも、元気消失を起こすことがあります。

炎症性疾患

身体のどこかに炎症が起きることで元気消失につながることもあります。特に、免疫が関与する炎症性疾患では、いつも炎症が起きているため、だるさや痛みから長期間にわたって元気消失がみられることもあります。

関節炎は、高齢の猫ではかなり一般的であり、ある報告では11歳以上の93.8%に関節炎の所見がみられるというデータもあるほどです。関節炎は、一部の関節だけでなく、手足の関節にまたがって起きることもあるため、関節炎を起こすと明らかに活動量が減るという報告もあります。

腫瘍

高齢猫で特に注意したいのが、腫瘍です。悪性腫瘍は、さまざまな形で身体に悪影響を与えます。体表にできる腫瘍もありますし、内臓や血管にできる腫瘍もあります。体内にできた腫瘍には気づきにくく、知らぬ間に、かつ徐々に進行します。「元気がだんだんなくなってきた気がする」という主訴(獣医師に対する訴え)から腫瘍が発見されることも珍しくありません。

② ストレス

慢性的なストレスが原因で、元気がなくなってしまうこともあります。何が原因なのかを特定することは難しいですが、元気がなくなってきた時期と照らし合わせ、思い当たる点がないか確認してみましょう。

ただし、ストレスが一因であったとしても、他に病気が隠れている可能性もあるので注意してください。

環境の変化(引っ越し、来客、新猫のお迎えなど)

猫にとって、環境の変化は大きなストレスになります。元気がない・隠れているといった行動が、環境が変わった直後だけでなく長続きしているのなら、今もまだストレスを抱えているかもしれません。

例えば、引っ越しをしたならば、まだ新居に慣れることができていない可能性があります。長期間家族以外が寝泊まりしている場合も、リラックスして過ごすことは難しいかもしれません。赤ちゃんが生まれたあとなども警戒してストレスを抱えることもあるようです。新しい猫(または犬など)を迎えたあと、その猫と折り合いがつかずにいることもあります。

解決はなかなか難しいですが、猫が安心できるような工夫をしてみると良いかもしれませんね。猫のペースで少しずつ慣れていけるように、一人で静かに過ごせる場所を用意しましょう。

騒音(カミナリ、工事など)

普段はないような騒音がストレスになることもあります。例えば、近隣での工事が長期間続くと音がするたびにストレスを感じるでしょうし、繊細な猫であればなおさら怖くなってしまうこともあるでしょう。雷が数日鳴り響くこともありますが、これによって怯えてしまい、いつものような元気を見せなくなることもあります。

③ その他

加齢

猫は人間の約6倍早く歳をとる生き物です。数ヶ月であっても加齢が急に進んでしまうこともあります。Catlog総研のデータでは、年齢が上がるごとに運動量が下がるという統計もあります。

年齢別の1日あたりの平均運動時間

ただ、加齢が原因かどうかは特定が難しく、そのほかに考えられる原因がないときに加齢であると言われることが多いです。

季節の変化

季節によっても猫の行動は大きく変わります。「夏場になると動きにくい」、「冬は寝ていることが多い」など猫によってさまざまですが、こうした影響も考えられるかもしれません。

平均睡眠時間の月ごとの変化

Catlog総研によると、冬には睡眠時間が多いこともわかっています。日照時間が影響している可能性もありますが、こうした季節変化も活動量が増減する要因になります。

猫の元気がなくなってきている時にするべきこと

猫の元気がだんだんなくなってきた、元気のない時期が続いている、という状況であれば、なるべく早く動物病院で診察を受けることが重要です。

が、その前に関係することを振り返ってみましょう。なぜなら、「元気がない」だけでは疑われる疾患の可能性が広すぎて、獣医師もポイントを抑えた診療がしにくいためです。元気消失は、どの病気でも起こり得るものであるからこそ、さまざまな関連する情報を加えて、一緒に伝えることが、診療の助けにもなります。

<ゆるやかな元気消失の時にすべきこと3ステップ>

① 過去から続くストレスがないかを確認

② ほかにも症状が出ていないかを確認

③ 動物病院に連れていく

① 過去から続くストレスがないかを確認

元気消失の原因のひとつに、ストレスがあります。まずは、元気がなくなってきた頃に起きた変化がなかったかを思い返してみましょう。

<ストレスのチェックリスト>

  • 引っ越し

  • 新しい猫をお迎えした

  • 家族が増えた

  • 慣れない来客があった

  • 旅行に行った

  • 気温が大きく変わった

  • 食事を変更した

  • 自宅や近隣で工事が始まった

  • 外で暮らす猫が家の周りをうろついている

  • 豪雨やカミナリが鳴っていた

  • 花火大会など騒音が大きかった

  • 動物病院に行って強いストレスを感じた

上記以外でも、強いストレスを感じるような場面があったならば、その出来事と関係している可能性はあります。逆に、これに該当していたからといって安易に様子をみてしまうと、隠れた病気を見逃す可能性もあるので、電話などでかかりつけの動物病院にも相談すると良いでしょう。

② ほかにも症状が出ていないかどうかを確認

もし、ストレスのような精神的な影響はなさそうなのに、長い間元気が低下している場合には、病気の可能性も考える必要があります。

どんなに小さなことでもよいので、どのような症状があったかをメモ帳にリストにし、いつからその症状が起きているのかなども追記しておくと有益です。そうしたメモがあれば、病院でもスムーズに説明することができるでしょう。

<元気消失以外の症状チェックリスト>

  • 食欲の低下

  • 発熱の有無(触って確かめる、でも良い)

  • 咳、呼吸のあらさ

  • 嘔吐/下痢/軟便(隠れてしていることもあり)

  • 腹痛や身体の痛み

  • 体重の減少や増加

  • 口臭や毛並みの変化

  • 歩き方、走り方の違和感

  • トイレの回数の増減

  • おしっこの色、ニオイの異常

  • 意識状態の異常(ぼんやりしている、昏睡しているなど)

  • けいれん

③ 動物病院に連れていく

上記①〜②をチェックし、やはり病気が隠れていそうな気がするときは、動物病院に行きましょう。「元気がないだけで行っていいのかしら」と悩む場合は、まずはかかりつけ病院に電話で相談してみるのも良いですね。

病院に行く際には、①や②の情報も一緒にお伝えできると診療の助けになります。また、CatlogがあればCatlogで得られたデータをお見せしながら状態を説明することもできますので、ぜひご活用ください。

Catlogアプリで「元気の低下が検知されました」のアラートを受け取った方へ

Catlog 基本セット

首輪型デバイス「Catlog(キャトログ)」では、元気の低下についてお知らせする機能を搭載しています。ここでの「元気」とは、Catlogの計測する活動量や食事など複数の健康指標を総合的に解析し、元気を表す指標として表示しています。これが、一定期間の中で大きく減少した場合には、このアラートを受け取る場合があります。

前述の3ステップを参考にしながら、心配な場合や思い当たることがある場合には、かかりつけの動物病院にもご相談ください。

※このアラートは、何らかの理由でCatlogが正しく計測できなかった場合にも表示されることがあります。猫様の健康状態に問題がない場合は、Catlogが外れていないか、記録に誤りがないか等をご確認ください。

※Catlogシリーズは、動物の疾病の診断、治療もしくは予防に使用するものではなく、医療機器ではありません。本アラートを参考のひとつとしていただき、ご自身の判断で動物病院にご通院等いただくようお願いします。

まとめ

猫の「ゆるやかな元気の低下」についてご紹介しました。とても一般的で、原因を特定しがたい症状ですが、ほとんどの病気ではじめに出てくる症状でもあることから、非常に重要な指標です。

元気がないかもしれないと思ったときは、遠慮せずに動物病院に相談しましょう。それが早期発見につながるかもしれませんし、何も異常がなかったとすれば、それはハッピーなことです。ぜひ本記事がご愛猫様の健康の助けになれば幸いです。

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ライター

猫様のいる暮らし編集部

猫様のいる暮らし編集部

2匹の猫様と一緒に暮らしています。無防備になったお腹に顔をうずめ、猫吸いをさせていただくのが至福の時間。 猫様との暮らしにまつわる情報をお届けします。

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Chief Cat Officer ブリ丸