株式会社RABO 獣医師
獣医師。救急医療を中心に従事し、災害医療にも携わる。宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長を経て、現在RABOに所属。Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。
お部屋で一緒に暮らすからこそ、猫のちょっとした体調の変化に気になるという方も多いでしょう。猫はデリケートな生き物で、お部屋の少しの変化でも敏感に反応します。人間と一緒で、季節に変わり目には体調を崩しやすくなることも。この記事では、猫のくしゃみの原因やくしゃみで考えられる病気についてご紹介します。
監修した専門家
株式会社RABO 獣医師
獣医師。救急医療を中心に従事し、災害医療にも携わる。宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長を経て、現在RABOに所属。Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。
猫がくしゃみをする姿はかわいらしいですが、何度もくしゃみを繰り返すようであれば何らかの病気の可能性があるかもしれません。まずは、猫がくしゃみをする原因から見ていきましょう
猫も人間と同じで、くしゃみをすることは珍しくありません。基本的にはほとんどの場合が生理現象でしょう。ホコリなどの異物が鼻の中に入った際や水を飲むときに鼻に水がついた際にもよく見られます。
数日に渡り何度もくしゃみを繰り返す、くしゃみが連続するなど、症状がおさまらない場合は何らかの病気(特に感染症)が考えられます。また、くしゃみに伴い鼻水などや目やになどの症状もある場合は、動物病院へ相談し早めの受診をしましょう。
猫のくしゃみが止まらない、なんだかいつもと様子が違って苦しそう…と違和感を感じたときは、何らかの病気の可能性もあります。ここでは、猫のくしゃみで考えられる病気をご紹介します。
一般的に「猫風邪(ねこかぜ)」とも呼ばれますが、これは猫カリシウイルスや、猫ヘルペスウイルスなどによる複合的な感染症(FVR)が原因です。風邪というくらいなので、くしゃみ、鼻水、目やに、など耳鼻咽頭まわりの症状を引き起こします。
<猫風邪の特徴>
とても感染しやすい
重症化しにくい
ぶり返しやすい
ワクチンがある
感染しやすいのも特徴です。外で生活する地域猫のほとんどが猫風邪に感染しているとも言われており、飼っている猫が地域猫と安易に触れ合うとすぐに感染してしまいます。飼い主が安易に地域猫を触り、そのあと飼い猫に触ることでも感染します。ワクチンを接種していても感染する可能性はありますので注意しましょう。
風邪と同じく、基本的には重症化することはあまりありません。しかし、猫エイズ(FIV)や猫白血病(FeLV)にかかっていると、症状が長引いたり、重症化することもくことも多いです。免疫力の低い高齢の猫や、子猫でも重症化することもあります。
実は、一度治ってもぶり返しやすいのも特徴で、それは体内にウイルスが残りやすいためです。完 全に排除するのが難しい、という方が正しいかもしれません。日和見感染(ひよりみかんせん)とも言いますが、免疫力が下がったときにウイルスが元気になり、何度も風邪症状を再発してしまいます。
感染を防ぐには、ワクチンが効果的です。完全な予防は難しいですが、今ある予防策の中では、もっとも効果的なものです。ワクチンのタイミングは獣医師の判断を仰ぎ、適切なタイミングで接種しましょう。
人間と同じように、猫にもアレルギーがあります。ハウスダストや花粉などのアレルゲンが原因ですが、完全な特定は難しいことも多いです。決まった季節にくしゃみが出る場合はアレルギーの可能性も考えます。血液検査や身体検査などをおこなうことで、ある程度のアレルゲンの特定ができるでしょう。
カビ(酵母)の一種であるクリプトコッカスを吸い込むことで感染する病気です。ハトの糞や土などに含まれており、くしゃみや鼻水に加え、元気や食欲の低下などを起こします。症状が進行すると神経症状や皮膚症状も見られることもあります。
免疫力が低下しているときにかかりやすい病気なので、他の病気にかかっているときなどに併発する恐れがあるため要注意です。
歯垢の細菌が原因となり、口腔内の環境が悪化します。歯肉や歯を支えている骨にまで影響を及ぼすこともあり、悪化すると骨が溶けて鼻と繋がる管ができることも。口の細菌が鼻へ進入し、刺激をすることでくしゃみや鼻水が出るようになります。
歯周病が原因の場合、くしゃみの症状より前に、猫の口臭がきつくなる、歯が黄色っぽく変色する、食欲低下などのサインが見られます。これからの症状が見られた場合は要注意です。
鼻に腫瘍などができると、くしゃみが出ることもあります。腫瘍ができると顔が腫れたり、鼻血が出たりします。鼻にできる腫瘍は悪性のものも多く、注意が必要です。
病気の治療には早期発見が重要になるため、普段から注意してチェックしておきましょう。
Catlogを使えば、愛猫の様子や健康状態に不安があるときに、データを元にアプリで24時間いつでもどこでも相談が可能です。通院判断や、獣医師に伝える内容の整理などにご活用いただけます。
くしゃみと、鼻水や鼻詰まりは同時に現れやすく、そうした症状がないか確かめるのもポイントです。実は、猫の鼻水の状態でも緊急性があるかどうかを判断できる場合もあります。ここでは、鼻水の特徴や注意しておきたいポイントをお伝えします。
まず、鼻水の状態をチェックします。さらさらとした鼻水なのか、粘度のあるドロドロとした鼻水なのかを確認しましょう。鼻水の状態で原因や、病気の進行具合を判断する一つの基準となるため、こまめにチェックしておくことで診療の際の目安にもなります。
ウイルスや細菌に感染すると、黄色や緑色の鼻水が出ることがあります。歯周病や慢性副鼻腔炎などの病気の可能性あります。
鼻の粘膜から出血している、鼻炎の悪化などが考えられます。
慢性的に赤やピンクがかった鼻水が出る場合は、粘膜の傷害があるかも知れません。また、鼻腔内腫瘍の可能性もあるため要注意です。鼻腔内腫瘍は7割~9割程度が悪性といわれています。腫瘍が大きくなると、顔の変形が見られることも。
赤やピンクの鼻水が出たときには、早めに病院を受診しましょう。
くしゃみや鼻水と同時に、目やにが出ることもあります。特に猫風邪の症状に多くみられ、ひどいときには目やにでまぶたが開かなくなってしまうことも。
目がしょぼしょぼしている、涙が多いなども風邪症状の可能性があります。いつもと違うと感じることがある際はこまめにチェックしてあげましょう。
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