株式会社RABO 獣医師
獣医師。救急医療を中心に従事し、災害医療にも携わる。宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長を経て、現在RABOに所属。Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。
猫との暮らし始めに考えるべきことのひとつに、トイレの置き場所がありますよね。どこに置けば猫にとって快適なのか悩んで、結局部屋の隅あたりに置いている方も多いのでは。
猫には、トイレをしやすいポイントがいくつかあり、その場所へトイレを設置すればより快適に使ってくれますし、トイレの失敗もある程度解決できます。猫も飼い主も心地よく生活するために、猫のトイレのおすすめな設置場所についてご紹介します。
監修した専門家
株式会社RABO 獣医師
獣医師。救急医療を中心に従事し、災害医療にも携わる。宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長を経て、現在RABOに所属。Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。
動物病院勤務 獣医師
獣医師。公務員獣医師として家畜防疫、牛の改良繁殖に携わる。その後はアミカペットクリニック、アカデメイア動物病院にて小動物臨床に従事。株式会社RABOにてWebコンテンツの監修も行っている。
トイレの置き場所は猫にとって非常に重要です。一度場所を決めたらあまり場所を動かさないことを基本に、以下のポイントを意識してみましょう。
【猫のトイレの置き場に適した条件(猫目線)】
人の出入りが少ない場所
静かな場所
においがこもらない風通しのいい場所
猫の食事場所や、寝る場所から多少離れていること
お家の環境によって物理的に難しい場合もありますが、ご自宅でこのような場所を探してみましょう。 また、飼い主目線では「排泄に気づいてあげやすいかどうか」も大事です。いかに上記にピッタリ合致していても、飼い主が苦労して辿り着かなければいけないような場所だと大変ですよね。なかなかタイムリーに砂交換がしにくいのも難点です。まずは、人も猫もメインで過ごすリビングの中で上記の場所を探してあげるのがおすすめです。
猫は人目を気にする動物なので、飼い主が頻繁に出入りしたり、ドタバタと往復するような場所では落ち着いてトイレができません。猫が気兼ねなく排泄できるよう、なるべく人の出入りが少ない場所にトイレを置いてあげましょう。
【適さない場所の例】
玄関
廊下
ワンルームマンションの場合など「ほかに置き場所がない」という理由でよく選ばれるようですが、猫からすればあまりうれしい場所ではありません。できれば、人の出入りが少ない場所に変えてあげましょう。
「人の出入りが少ない」と似た理由になりますが、猫は周囲の環境に敏感です。静かな場所で神経質にならずに排泄ができる場所を、トイレの置き場 所にしましょう。
【適さない場所の例】
洗面所
台所のわき
洗面所は洗濯機や乾燥機を置いている家庭も多いですよね。また、台所のようにジャージャーと食器洗いの音がしたり、お料理やレンジの音がなりやすい場所も、猫は気にするかもしれません。完全に物音がしない場所は難しいですが、少しでも静かな場所をトイレの置き場所にすると猫も安心して排泄ができます。
おしっこやうんちのにおいがこもらない場所をトイレの置き場所にしましょう。猫はもちろん、飼い主もにおいに困ることなく快適に生活することが大事です。できるだけ風通しがよく、においがこもりにくい場所を選びましょう。
【適さない場所】
クローゼット
押し入れ
クローゼットも押し入れも風通しが悪く、においがこもってしまいます。家の構造の関係でクローゼットに出入口を作ってトイレにしている場合もありますが、においがこもってトイレに行かなくなる可能性もあるので避けるとよいでしょう。
ただし、風通しが良過ぎて、風でドアがパタンと閉まってしまわないように注意しましょう。トイレがない部屋に閉じ込められてしまい、仕方なしにソファでおしっこしてま った事例もあります。
猫の食事の置き場所や寝る場所から離れていることも、トイレの置き場所を決める重要なポイントです。人間でも同じですが、ご飯を食べる場所や寝る場所の近くにトイレがあるのはあまり気持ちのいいものではありません。排泄物のにおいがしない場所を選びましょう。
猫のトイレで大切なのは置き場所の環境だけではなく、トイレそのものの数も重要です。猫1匹につきトイレが1つではなく、猫の数+1以上設置しておくといいです。特に部屋が複数ある場合は、猫が移動する部屋毎にトイレを設置するのがベストです。「緊急用」として1つ多めにトイレを作っておくと、猫の粗相も起きにくくなるかもしれません。
猫のトイレの置き場所は、一度決めたら頻繁に変えない方がいいです。まだ子猫の場合などは、トイレトレーニング で場所を覚えたのに、いきなり違う場所に移動してしまっては混乱してしまうからです。
トイレ位置の突然の変更は、トイレ以外の場所で粗相を起こしやすくなってしまったり、トイレを我慢しすぎて膀胱炎などの病気につながる可能性もあります。
トイレの場所を変える必要があるときには、次の2つの方法がおすすめです。
ひとつ目は新たにトイレを増設する方法です。すでに設置してあるトイレと同じ砂や容器を使うことで、違和感なく排泄ができます。
もうひとつは、今の位置から毎日少しずつずらしていく方法です。大体10-30cmずつずらすことで、バレないように位置を変えていきます。いきなり場所を変えてしまって生じるストレスをかけずにトイレの場所を変更することができます。
どちらの方法も時間はかかりますが、今の場所では問題があるという場合にはどちらかの方法を試してみましょう。
猫のトイレは置き場所だけではなく、置き方にも工夫が必要です。猫には気に入るトイレの要素があり、飼い主の好みや事情だけでトイレの置き方を決めてしまうと、トイレで排泄してくれないこともあります。猫がどんなトイレを気に入るのかを、試行錯誤を繰り返しながら決めるといいでしょう。
猫のトイレの置き方では、次のような気をつけるポイントがあります。
顔が遮蔽できる方が良い(顔や体が隠れやすい置き方)
エントリーしやすさ(高いところや足場の悪いところではなく)
猫は暗くて狭い場所を好む習性があり、トイレも同じような環境に置くと安心して排泄ができます。ただし、すべての条件を満たしている場所はなかなか見つからない場合もあるでしょう。
例えばクローズな場所がなければ、衝立(ついたて)や、布などで目隠しを作るだけでも猫は安心します。些細な工夫でも猫が快適に排泄できるような置き方や工夫があると理想的ですね。
詳しくは「」で説明します。
猫がトイレを気に入っていないときには、次のようなサインを出します。
トイレの縁に足をかけて排泄する
排泄後に猫砂をかけずに出てくる(不快で飛び出してしまうイメージ)
空中をひっかくようなしぐさをする
トイレの縁や壁をひっかく
猫はトイレへのこだわりが非常に強い動物です。上記のような様子が見られたら置き場所を含めてトイレを気に入っていない可能性があります。逆に気に入っている場合は猫砂を必要以上にかきます。猫砂の感触が気持ちいいため、しつこく砂かきをすることもあるのです。些細なサインかもしれませんが、猫にとっては大きな問題です。見逃さないようにしましょう。
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