株式会社RABO 獣医師
獣医師。救急医療を中心に従事し、災害医療にも携わる。宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長を経て、現在RABOに所属。Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。
猫を飼うときは、お迎えする当日までに家の整理をし、猫用のトイレやキャットフードなど様々なグッズもあわせて用意する必要があります。本記事では、猫を飼う際に必要な準備と、購入しなければならないグッズ、それに伴う注意点についてご紹介します。
監修した専門家
株式会社RABO 獣医師
獣医師。救急医療を中心に従事し、災害医療にも携わる。宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長を経て、現在RABOに所属。Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。
この記事のまとめ
子猫を迎える前には、事前に住環境の整理や必要なグッズを揃えておく
近隣の動物病院のチェックなども忘れずに
お迎え前に準備したいものは、ケージ、トイレ用品の2点。セット商品も販売されている
お迎え当日の準備で良いものは、フード、食器、おもちゃ、キャリー用品
その他、揃えておくと良いものもご紹介
まずは猫を迎える前の準備として、家や部屋など住環境を整理しましょう。
子猫は、成猫に比べて好奇心がとても強く、やんちゃです。思わぬものを口にしてしまうことがあり、誤飲(ごいん:異物を飲み込んでしまうこと)に注意してください。ひも状のものや電源ケーブルなどのコード類、テーブルの上に置きそうな薬や小物などは、誤飲してしまったり、遊んでいるうちに怪我などに繋がってしまったりすることがあるため、特に意識して片付けることが必要です。
高いところに登ることも得意なので、普段見ないような冷蔵庫の上や棚の上まで意識して片付けるようにしましょう。また、観葉植物や薬品類などは、ほとんど猫にとって有毒です。
家に子供がいる場合は、これからの片付けについて、よく話しあっておきましょう。子供にも「間違って飲み込んでしまうと、大変なことになる」と いうことをしっかり伝えておくことが大事です。
お迎え前に、片付けておきたいものリスト
小物類(子供のブロックなど)
人間用の食べ物、薬、サプリメントなど
観葉植物
あらゆるヒモ
電源コードを隠す
その他、口に入りそうな大きさのもの全て
また、外の世界に興味を持ち外出したがることがあります。猫が脱走してしまうことを防ぐために、入って欲しくない場所にはペット用のゲートを設置したり、ベランダを開ける際にはケージに入れるなどの対策をすることが必要です。
近所の動物病院を探しておきましょう。特にお迎え直後の子猫は、体調を崩しやすいです。できれば、夜間でも診療を受け付けている病院も探しておけるとベストです。
猫を迎える場所がマンションやアパートである場合、物件によってはペット禁止の場合がありますので、ペット飼育可能かどうかの確認は必ず行いましょう。
猫は、爪を研ぐ習性があるため、壁や床を引っかくことがあります。爪とぎグッズもありますので事前に準備しておくと良いですが、それでも壁紙で爪を研いでしまう猫もいます。賃貸の場合は、ここも留意点ですね。
基本的に、迎えた猫が8週齢を過ぎるまでは、お留守番は推奨されません。飼い主の長期休暇などに合わせて猫を迎えることが望ましいです。また、迎えた直後の1~2週間(最低でも)は、留守番をさせることは避けるべきでしょう。
仕事などの関係で家をあけることが多い場合は、猫を迎える前から準備をすることが必要です。特に、ケージはお留守番時にとても役立ちますよ。
猫に近寄って欲しくない場所や、怪我につながるような場所には立ち入らせないようにする工夫が必要です。また、留守番中に猫が遊ぶことができるようなおもちゃや、猫用のキャットタワーを用意することも良いでしょう。
迎える猫のほかに既に先住猫がいる場合、もしくはすでに多頭飼い(複数飼い)している場合は、仲良く過ごす姿を早く見たいですよね。しかし、お互いの顔合わせはすぐに行わず、徐々に慣らしていく配慮が必要です。
先住猫と顔合わせする際のポイント
先住猫は、事前に予防医療を済ませておく
1週間程度は隔離して過ごす
徐々に顔合 わせしていく
まず、先住猫には、事前に予防医療を済ませておくようにしましょう。ワクチン接種やノミダニ予防、寄生虫の駆虫などです。
お迎えの後は、1週間程度の隔離期間を設けます。これには、感染症予防の観点と、お互いの生活の急な変化を緩和する意味があります。可能であれば別の部屋での隔離が望ましいです。
隔離期間が終了したら、ケージごしに合わせてみたり、ガラス越しに存在を見せてみたりしながら、徐々に「新しい家族が増えた」ということを伝えていきましょう。1週間ほどかけて徐々に接触を増やしていくようにできると良いですね。どうしても猫同士の距離が縮まらなかったりする場合は、動物病院や専門家のアドバイスを受けることも考慮しましょう。
先住猫がいる場合、双方に感染のリスクがあります。先住猫は、症状がなくても猫カゼのウイルスなどを持っていることもありますし、新たに迎える猫は消化管内寄生虫やノミ、猫カゼなどをもっていることもあります
猫を飼うにあたって、事前に準備が必要なグッズを紹介します。猫を迎える前に購入し、組み立てなどの準備が必要なグッズは以下のとおりです。
事前に揃えておくべき猫グッズ
ケージ
トイレ用品
子猫にはケージを準備しましょう。身体が小さくやんちゃな時期ですので、家の中で放し飼いをするのはまだ早いです。誤飲や事故(狭い隙間に入って抜け出せなくなるなど)が起きやすいので、基本的にはケージ内で過ごす時間がメインになります。
ケージの組み立ては時間がかかるため、事前に購入して設置しておきましょう。
ケージがあれば、来客時やお留守番をさせるときにも便利です。また、「身を隠せる自分だけの場所」があることは猫にとって重要です。ケージは二階建てなど高さのあるものを選ぶと良いでしょう。ケージの中にはトイレを設置します。購入するケージに購入したトイレが設置できるかどうかもチェックしてください。そのほか、ケージを選ぶ際には安全面を考慮し、耐久性や耐荷重、素材、部屋に設置することができるかどうかなども事前に確認できると良いですね。
ケージは成猫になっても使い続けられます。長く自宅においても邪魔にならず違和感がないようなものを選べるといいですね。
子猫には「子猫用トイレ」を用意してあげてください。子猫トイレは、小さな子猫でもエントリーしやすいよう、高さや大きさが工夫されているため、子猫でも使いやすく設計されています。
成猫の場合は、バリエーションが選びやすいです。屋根付きのフルカバータイプや、逆に屋根のないロータイプ、自動で掃除をしてくれる家電タイプなど様々な種類があります。
トイレ砂に関しても、紙タイプやウッドチップタイプ、鉱物タイプなど様々な種類があり、それぞれ消臭性やゴミの出し方などが異なります。また、猫がトイレを使いやすいように、子猫のときは小さめで手足でかきやすい砂を選択したり、砂の量などにも留意しましょう。
トイレ選びは、以下の記事も参考にしてください。
猫を迎える当日、もしくは迎えた後すぐに必要となるグッズについて紹介します。
お迎え当日でも大丈夫。準備するべき猫グッズ
キャットフード
食器類
おもちゃ
キャリー用品
猫を迎える際には、キャットフードの用意が必要です。
お迎え元で何を食べているか当日にならないとわからない場合が多いのですが、なるべく同じものをあげる方が望ましいです。
キャットフードは、大きく分けてドライフードとウェットフード(缶詰)の2種類があります。ドライフードは保存がしやすく、ウェットフードは水分補給にもなるため、両方をバランスよく与えることが望ましいです。
フードを選ぶ際には、猫の年齢や体重、健 康状態に合わせた種類のキャットフードが販売されているため、迎えた猫にあったものを用意することが大切です。基本的には総合栄養食を与えれば問題ありませんが、子猫の場合は、必ず「子猫用」を選びましょう。
急なご飯の変更は、猫の消化管にとってストレスになります。これまであげていたご飯が何かをお迎え元のブリーダーさんやペットショップにお聞きし、なるべく同じものを準備してください(少し分けてもらえることもあります)
また、用途別に選ぶだけでなく、含まれる成分についても確認できるとベストです。が、なかなか成分や原材料を見てもわかりにくいので、まずは安心できるブランドを選ぶか、獣医師やブリーダーさんにおすすめを聞いてみるのもいいですね。
キャットフードをあげる際には、猫の年齢と体重によって、フード量が決まっているので、適切な量をあげるようにしましょう。子猫の時期は「自由採食」といって、食べるだけあげるでも構いませんが、生後6ヶ月齢以降では肥満にも注意してくださいね。与えるフードの量を正しく調整することによって、肥満や健康リスクを防ぐことができます。
フードの種類や選び方について詳しくは以下の関連記事をご覧ください。
水飲み用の食器と、フード用の食器を用意しましょう。猫は口の形が犬と異なるため、猫用の食器を選ぶことが大切です。
食器の材質については、陶器やステンレス、プラスチックなど様々な種類があります。陶器やステンレスのものは割れにくく衛生的という特徴があり、プラスチックのものは軽くて丈夫という特徴があります。
食器は猫の嗜好性や、手入れのしやすさなどを考慮しつつ、転倒防止のため底が広くて安定したものを選ぶと良いでしょう。また、食器の高さがなく、首を下げて食べるような食器では、吐 き戻しの原因にもなるため、ある程度の高さがあるものを選ぶことがおすすめです。
子猫のうちは高い皿だと食事が難しいため、子猫用の浅い小皿を用意してください。
食器を購入したら、食器を置く位置も工夫しましょう。猫は食事をする際、周囲を確認しながら食べるため、玄関やドアの近くなど人の往来が多いところは避け、安心して食事や水を飲める場所に置くことが望ましいです。
食器は毎日清潔に保つことも大切です。食器の中には水を新鮮な状態で保つための機能が備わったものである給水機などもありますので、外出が多く食器のお手入れが難しい方などは給水機や自動給餌器の購入を検討してみてください。
特に子猫は遊ぶことが大好きです。たっぷり遊んであげるためにも、おもちゃを使って猫と一緒に遊び、日々楽しんでもらいながら、運動やストレス解消も促しましょう。
おもちゃを使って猫と一緒に遊ぶことで、猫とのコミュニケーションを深めることができます。猫とのコミュニケーションを深めることは、猫との信頼関係を築く上でも非常に重要です。
猫のおもちゃには、ひもや羽根などのおもちゃや、カサカサと音が鳴るものなど様々な種類のおもちゃがあります。猫の好みや性格に合わせたおもちゃを用意し、楽しく健康的な生活を送ることができるようにしましょう。