株式会社RABO 獣医師
獣医師。救急医療を中心に従事し、災害医療にも携わる。宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長を経て、現在RABOに所属。Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。
猫は、比較的留守番をしやすいと言われます。犬に比べてお散歩に行く習慣がない上、トイレの失敗も少ないなどの理由もあるでしょう。
猫を自宅へ残し、出張や旅行などに行った経験がある方も多いのではないでしょうか?
猫を自宅へ残して出かけることは後ろ髪を引かれてしまいますが、家族で暮らす以上、留守番は避けて通れません。
大切なのは、「猫に留守番をお願いする」という気持ちで、快適な環境を用意してあげると同時に、留守番中も見守ってあげることです。
本記事では「なるべく快適に留守番をしてもらうために」をテーマに、猫の留守番についてご紹介していきます。
留守番に備えて、飼い主として注意すべき点、なるべく快適に留守番をしてもらうための準備や対策方法をまとめましたので、参考にしてみてください。
監修した専門家
株式会社RABO 獣医師
獣医師。救急医療を中心に従事し、災害医療にも携わる。宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長を経て、現在RABOに所属。Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。
しっかりと快適な空間を作ってあげれば、きっとどの猫も留守番はできます。とはいえ飼い主から見て「留守番をしてもらいやすい」のか、猫から見て「留守番が負担にならない」のかの両面から見てみましょう。まず、飼い主からの視点では、下記の点が挙げられます。
犬のように毎日散歩に行かなくてもいい
トイレの粗相が起きにくい
それほど長時間でなければ、置き餌でもフードをあげられる
一方で、猫からの視点では、下記のような点が挙げられます。
留守番で極度の不安は感じにくい
逆に猫だけでのびのびしたいときも
もともと、猫(イエネコ)は、犬と違って群れを作って集団生活をすることがなく、単独で過ごすことにそれほど大きなストレスを感じにくいと言われます。
ですが、仕事や出張、旅行などで長い時間留守にすれば、フードやお水は新鮮でなくなってきますし、トイレにも排泄物がたまってきます。なにより、寂しがり屋の猫だってたくさんいます。飼い主が帰宅するとすりすりと寄ってきて甘えるのは、寂しかった気持ちの現れなのでしょう。 でも、四六時中だれかが寄り添っているわけにもいきませんよね。だからこそ、なるべく快適な留守番環境を作ってあげることが同時に大事なのです。
関連記事:猫に散歩は必要なの?メリットやデメリット、事前準備につ いて解説
2ヶ月齢頃までの子猫
人に寄り添うことが好きで、寂しがり屋な猫
高齢や病気持ちな猫
フードをすぐに食べ切ってしまう猫
誤飲のくせがある猫
比較的留守番をしやすい猫ですが、もちろん留守番が推奨されない猫や状況もあります。
子猫にとって一番大切なのは、栄養です。(体重あたりでは)成猫の数倍のカロリーを摂取する必要があり、特に2ヶ月齢頃までは栄養が全てといっても過言ではありません。数時間おきに栄養を摂取しつづける必要があり、母猫がいない家庭では留守番はおすすめできません。
留守番の頻度や時間が長いことで、精神的なストレスを抱える場合もあります。特に寂しがり屋な猫では、「分離不安」といって家族と離れることに対して強い不安を抱いてしまう猫も。 また、寂しい気持ちを紛らわそうと、いたずらに走ってしまうこともあります。留守番ができないわけ ではありませんが、徐々に慣らしていくなどの工夫が必要ですね。
関連記事:「猫の分離不安」って何?なりやすい猫の特徴と改善策を紹介!
闘病中の猫では、留守番中の急変に気づけないこともあるかもしれません。まったく家を空けられない、というほどシビアな状況では通常「入院での経過観察」となるので考えにくいのですが、病気持ちの猫では、見守りデバイスを自宅に用意すると良いかもしれません。
近所のスーパーへ買い物するような短期間の留守番ではなく、2食以上の間が空くような期間をお留守番してもらう場合、2食目以降をどうするか考えておく必要があります。 置き餌をしても、すぐに食べ切ってしまう猫だと、次の食事までに時間が空きすぎることも。自動給餌器などを準備する必要もあるかもしれません。
子猫に多いのですが、そこらにあるものをなんでも口にいれてしまう好奇心旺盛の猫もいます。出かけるまでにしっかりと片付けしておくと良いですね。
「猫は何日くらい留守番できるの?」との疑問を持たれている飼い主さんも、いらっしゃるのではないでしょうか?それぞれの猫の状態や環境によりますが、留守番の期間は、おおよそ「2泊まで」を目安にしてください。 もちろん、子猫のように、まだ留守番に慣れていない猫では、数分や数時間から始めてみて、徐々に長くしていく方法がおすすめです。最初から一泊旅行に行くなどの大胆な外出は、子猫にとって大きな負担になりますので避けましょう。
また、留守番の時間が長いほど、環境面・精神面・栄養面での負担が大きくなります。例えば、トイレには時間が経つほど排泄物がたまりますし、家族とコミュニケーションできない分、精神的なストレスや運動不足にもなるかもしれません。また、食事やお水も新鮮ではなくなってくるはずです。
どうしても長期間留守にする場合は、ペットシッターさんや知り合いなど、信頼できる方にお世話を依頼することもお忘れなく。特に、留守番ビギナーの猫には、短期間であっても試しにお願いしてみるのも良いでしょ う。 また、ペットホテルなどの全く環境の違う空間を苦手にしてしまう猫も多いと思いますが、信頼できるペットシッターさんがいない場合には、無理に長期間留守番してもらうより、ホテルの利用も選択肢に入れてください。実はそれほど気にせず過ごしてくれたりもするかもしれません。
留守番中、いつもお利口に過ごしてくれるとは限りません。特に子猫は全てのことに興味津々。かわいいもので、悪気はなくてもつい暇で遊びたくなってしまうものです。実際に起きうる事例を参考に、留守番中に起こりやすいいたずらやトラブルを見てみましょう。
物を壊したり、散らかす
戸棚を開けて、盗み食い
思わぬところに逃避行
トイレ大失敗
夏に暖房スイッチをON
誤飲
玄関を開けると、大運動会した?と聞きたくなるような 惨事になっていた方も多いのでは? 一方の猫はといえば、満足げな表情。でも、叱ってはいけません。猫は、留守番中の不安や遊びたい気持ちを、ひとりで発散させたに過ぎないのですから。
倒れやすいもの(花瓶、コップや食器類、置き物など)は、あらかじめどこかにしまっておくか、しっかりと固定しておくようにしましょう。畳んだお洋服なども、クローゼットの中にいれておかないと、格好の遊び場と化していることもあります。
要するに、しっかりと片付けさえしておけば、きっと避けられるはずです。留守番をしていただいている猫には、思う存分走り回ってもらいましょう(笑)。
大好きなおやつが入っている戸の開け方を知ってしまい、家族がいない隙を狙って、器用に開けて盗み食いしてしまうことも。おやつならまだいいものの、それが猫にとって良くないものならどうでしょうか? 筆者(獣医師)が以前、救急病院で診察した中に、人用のサプリメント(テレビCMでも流れる滋養強壮剤)を大量に食べてしまいケイレンが止まらなくなった猫がいました。飼い主さん曰く「届かないはずの戸棚に入れていたのに」ということでしたが、器用に開けてしまったようです。
夏場に風通しを良くしようと窓を 開けていると、そこから不意に外に出てしまうこともあります。人間が通れなくても、猫は驚くほど狭い場所もするりと通り抜けていくため、戸締りは万全にしておく必要があります。また、お湯が入ったままのお風呂に落ちてしまうケースも。意外な落とし穴ですね。
普段ならちゃんとトイレでしてくれるのに、留守番中に限って外してしまう、ということも多いのではないでしょうか? 原因の多くは、「トイレが汚いから」です。留守番中に排泄物がたまり、トイレで排泄したくない気持ちになっているのかもしれません。トイレの数は、猫の数より多くしておくことが理想です。留守番が多い家庭では、より気をつけておくと良いですね。 また、留守番のストレスが要因ということも。ベッドやソファにおしっこをしてしまうこともあり、そうした後はしばらく強いにおいが残ってしまいますよ。
これも実際に動物病院で出会った事例ですが、夏場にお留守番してもらった後に帰宅すると、異様に部屋が暑く、よくみるとエアコンの暖房がついていたということがありました。猫は、熱中症に強い動物ですが、さすがにかなりぐったりしてました。確かなことは分かりませんが、お出かけ前に間違えて暖房にしてしまったか、猫がエアコンのスイッチをかじるなどしているうちにスイッ チがついてしまったのかもしれません。
また、冬場ではホットカーペットにも注意してください。猫はこたつで丸くなるとはよく言ったもので、暖かい場所を好みます。でも、身体と直接触れるホットカーペットや電気毛布は、長時間居座ると低温やけどを起こします。お出かけの時は、自動で電源が切れるよう設定しておく方がベターです。
誤飲事故は、留守番中に最も注意すべきことの一つです。留守番中は、ひとりで遊ぶしかない分、誤飲を起こしやすい状況です。おもちゃ、薬や観葉植物(特にユリ科植物には注意)、ヒモなどは命に関わりますので、十分注意してください。 盲点ですが、キッチンにかけてあるタオルなどはひらひらと揺れるため、留守番中に遊び道具としてガジガジしてしまうこともあります。繊維性の製品は、ほぐすと糸になり、飲み込むと消化管に絡みついて腸閉塞を起こす原因になります。
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家族と暮らす以上、留守番は避けられません。できる限り猫にとって快適な空間を用意してあげることも大事です。また、快適にしてあげることで、トラブルやいたずらも避けることができるかもしれません。そんな、お留守番時のコツをご紹介します。
十分なフードと、たっぷりのお水を用意する
トイレを清潔にしておく
部屋をしっかり片付ける
お気に入りの場所を整 える
窓やドアの戸締りを確認する
エアコンを適温にセットする
見守りデバイスをセットする
お留守番をお願いし、おやつを献上する
当たり前のことですが、留守番の長さに合わせて、十分なフードを用意してください。自動給餌器が便利ですが、用意がない場合は置き餌で対応しましょう。 お水は、新鮮なものに入れ替え、水飲み場を複数用意しましょう。たとえ器をひっくり返してしまっても、他の水飲み場で飲水できるようにしておくことが大事です。お水はありすぎるくらいがちょうどいい、と考えるようにしてください。
出かける前にはトイレをきれいに掃除しておいてあげるのも大事です。お留守番の時間にもよりますが、排泄物がたまるほどそのトイレに入りたくなくなるため、猫にとってストレスになります。もちろん、トイレ以外で排泄してしまうと後片付けも大変です。 そうしたことがないよう、トイレを複数置いておくのがおすすめです。これはお留守番時に限らずですが、トイレの数は「猫+1個以上」が理想とされています。
誤飲や散らかしの原因となるようなものは、しっかり片付けておきましょう。猫の力でも開けられそうな扉にしまうだけでは不十分なこともあります。また、いつも出してあるようなキッチンのタオルや、ヒモ状のおもちゃなども忘れず片付けておいてください。
猫にとって快適な空間をつくってあげることも忘れないでください。特に、「お気に入りの場所」はどの猫にもあるはず。その周りをしっかり整えてあげれば、お留守番中もぐっと快適に過ごしやすくなります。
防犯上の理由だけでなく、猫が脱走してしまう事故を防ぐためにも、窓や戸締りを確認しましょう。窓の隙間越しに地域猫と接触することなどもあり、感染症をもらってしまう可能性もあります。
室温が快適になるよう調整しておくようにしましょう。リモコンを出しっぱなしにしておくと、スイッチで遊んでしまうこともあるので、こちらもしまっておくことをおすすめします。 最近では、外出中でもスマホで室温を調整できるような機能もありますね。特に、夏場や冬場は活躍してくれるはずです。
外出先では「いま、なにしてるかな」と何度も考えてしまいますよね。首輪型IoTデバイスのCatlogや、ペットカメラで猫の様子を確認できるよう、充電や電源を確認しておきましょう。
「留守番をさせる」というより「留守番をしていただく」という気持ちが大事です。半分冗談ですが、「行ってくるね」だけではなく、「留守番をお願いね」という気持ちも込めて、すこしおやつを差し上げると、次からの留守番が少しでもしやすくなるかもしれませんね。
関連記事:猫のおやつはどのくらいの頻度であげればいい?量やタイミング、注意点を紹介
生後間もない時期は、留守番はNGです。数時間おきに栄養 や水分が補給できるよう、気を配ってあげてください(育児に献身的な母猫がいるとだいぶ違うのですが)。
3ヶ月以降頃になると徐々にお留守番もできるようになってきます。どうしても、子猫の場合は好奇心が強いため、家族がいるときには近づかないような場所やモノにも興味を示し、誤飲やいたずらをしてしまうこともめずらしくありません。
そのため、子猫のうちはケージを利用される方が多いようです。ケージに悪いイメージを持たれる方も多いかもしれませんが「自分の安心できる居場所」になってくれることもあります。 逆に言えば、ケージを快適な環境に整えてあげれば、子猫のうちの留守番もそれほど苦にならないかもしれません。
子猫の留守番の時は、以下を参考にしてください。
短時間にする(徐々に慣れさせる)
上下移動ができるよう、段差のあるケージを用意する
栄養や水分の補給がしっかりできるよう特に気を配る
関連記事:子猫を迎えるときの準備と、月齢ごとの育て方やポイントを紹介!
万全な状態でお出かけしたとしても、留守番中の猫の様子が気にならない方はいないでしょう。「今ごろ眠っているのかな」、「万が一のことが起きていないかな」など、留守番中の猫の様子に応えてくれるデバイスがいくつも登場してきています。
留守番の時には、大きな味方になってくれる見守りデバイスについてご紹介します。
ペットカメラは、猫がいるエリアに設置することで、スマホから動画で見守ることができます。特に子猫の時は、ケージの近くに設置すれば、いつも猫の様子を確認することができます。 一方で、成猫で自由に移動できる環境の場合は、カメラの画角から外れてしまうと映らないなどの不安もありますが、留守番中に動画で確認できるという安心感は大きいはずです。
Catlog(キャトログ)は、首輪型の見守りデバイスで、スマホからいつでも猫の行動を知ることができるもの。首輪に内臓されたセンサーが、猫の動きをキャッチすることで、以下のような行動を検知してくれます。
歩く
走る
寝る
くつろぐ
毛づくろい
食べる
水飲み
アプリを開くと、「今している行動」がリアルタイムでアニメーションで表示され、過去の行動もタイムラインやグラフで振り返ることができます。
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Catlogアプリを実際にさわってみる子猫では毎日の体重の変化も重要ですし、首輪と併用すれば前述の行動に加え、トイレの情報も同じアプリで確認することができます。お留守番中に、ちゃんとトイレができているか、いつもと変わりはないか、などしっかり見守ることができます。
Catlogアプリのデモをご体験いただくことで、実際に愛猫の行動やコンディションがどのように記録され表示されるかがイメージしていただきやすくなります。 デモ画面では、画面上での補足説明もあるため使用感を簡単にご体験いただけます。ぜひ一度お試しください。
猫と暮らす上で、留守番は切り離せません。だからこそ、上手に付き合っていくことが重要です。
「留守番をお願いする」という気持ちで、猫にとって快適な環境を用意してあげると同時に、留守番中も見守ってあげることで、仕事や旅行時でも「安心なお出かけ」をお楽しみください。
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ライター
猫様のいる暮らし編集部
2匹の猫様と一緒に暮らしています。無防備になったお腹に顔をうずめ、猫吸いをさせていただくのが至福の時間。 猫様との暮らしにまつわる情報をお届けします。