株式会社RABO 獣医師
獣医師。救急医療を中心に従事し、災害医療にも携わる。宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長を経て、現在RABOに所属。Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。
猫が小さな前足を使っておこなう「ふみふみ」。なんともかわいらしい仕草ですよね。猫とより深い絆を結ぶには、行動から猫の気持ちを察してあげることが重要です。そこで今回は、猫の「ふみふみ」をテーマに、何を要求しているのか、行動の理由は何かを解説していきます。
監修した専門家
株式会社RABO 獣医師
獣医師。救急医療を中心に従事し、災害医療にも携わる。宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長を経て、現在RABOに所属。Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。
動物病院勤務 獣医師
獣医師。公務員獣医師として家畜防疫、牛の改良繁殖に携わる。その後はアミカペットクリニック、アカデメイア動物病院にて小動物臨床に従事。株式会社RABOにてWebコンテンツの監修も行っている。
猫が小さな前足を交互に出し、何かを踏むような仕草はとてもかわいらしいですよね。「ふみふみ」や「もみもみ」と呼ばれているこの仕草。愛らしいその姿の虜になってしまう愛猫家も、少なくないでしょう。
ではこの行為には、一体どのような意味をもっているのでしょうか。ここでは猫のふみふみの由来や、行動の意味をご紹介します。
ふみふみは、子猫のときの名残だといわれています。子猫がお母さんのおっぱいを飲むときに、母乳が出やすいようにおこなう仕草が「ふみふみ」です。おっぱいを刺激することでお乳が出やすいようにする本能的な行動なので、人間で言うと指しゃぶりに近いものかも知れません。
お母さんのお腹を思い出してのふみふみ。このことからも、ふみふみをしているとき猫はリラックスした状態にあることがわかります。
ふみふみをしていたかと思ったら、いつの間にか眠ってしまっているということもあるはず。成猫がふみふみをしても、それは基本的にリラックスした状態と考えられるので、心配する必要はありません。
子猫の頃からのクセであるふみふみですが、実は以下で紹介するような理由もあるようです。
基本的には、「甘えたい気分」を表す行動だと考えられています。母親のもとで守られている安心感を思い出しての行動と考えられており、赤ちゃん返りのような甘えモードになっているのかもしれません。言い換えれば、あなたを「守ってくれる存在」と信頼している証でもあります。存分に甘えさせてあげましょう。
ちなみに、野生の猫では成長するにつれこうした行動は少なくなるとも言われています。でも、野生のように厳しい環境にはない飼い猫は、成長しても子猫気分であることも多いので、こうしたふみふみ甘えが続くのでしょう。
またふみふみによって、自分の匂いをこすりつけているケースもあります。これはマーキングの一種であり、あなたのことを「自分の飼い主だ」と、アピールする意味も含まれているのだそうです。
子猫がふみふみをするのは、母乳が出やすいようにする行動と説明しましたが、このことからもイメージできるように、成猫であっても「お腹が空いている」ときは、ふみふみをすることがあります。これは、ふみふみをお腹が満たされる行動と認識しているためだと考えられています。ふみふみを すればたくさん母乳がもらえるという記憶から、そうしているのかもしれません。
リラックスしている状態とも関係していますが、猫がふみふみをするのは、眠いためであるケースもあるようです。なかには、まどろみがらふみふみをする猫もいるほどです。
一口にふみふみといっても、そのパターンはさまざまです。あなたをはじめとした飼い主におこなうこともあれば、毛布にふみふみをすることもあります。なかには、何もないところでエアーふみふみをする猫もあるのだそう。
では猫は人や毛布などのどんな点を気に入って、ふみふみをしているのでしょうか。それぞれのケースを紹介します。
自分自身や飼い主のにおいがついた、毛布(または布団)は猫にとって絶好の「癒やしスポ ット」です。安心できるにおいに包まれる空間は、猫にとってふみふみをせずにはいられないのでしょう。
安心しきった状態で甘えられる、至福の時間といってもいいかもしれません。やめさせる必要はないので、思う存分にふみふみを堪能させてあげましょう。
何もないところでも、ふみふみすることがあります。「一体なんのためにやっているの?」と思ってしまいますが、これもまた甘えている証拠です。寝ているときやウトウトしているときに多く見られます。
また成猫よりも、子猫に見られる行為でもあります。これもまた猫にとっては安らぎの時間なので、そっとしておいてあげましょう。
飼い主の太ももやお腹などに、ふみふみする猫もよく見られます。ついつい「どいてほしいのかな?」なんて思ってしまいますが、猫の欲求は真逆です。ほどよい弾力を楽しんでいることもあるので、そのままふみふみさせてあげましょう。
しかし飼い主の上に乗ってふみふみをする場合は、マウンティングの場合もあるようです。自分が優位なことをアピールしているのかもしれません。
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家族のなかで、特定の誰かだけが頻繁にふみふみを受けていることはありませんか?ふみふみを受けやすい人は、猫が信頼している人である可能性があります。また猫にとって、感触が好みである場合も、頻繁にふみふみをします。
猫にとって頼りたい、甘えたい、ふみふみすると気持ちが良いという人が「ふみふみをされやすい人」といえるでしょう。
すべての猫がふみふみをするわけではありません。前半でもご説明しように、ふみふみは子猫が頻繁におこなう仕草であり、成猫になったら止めてしまう猫もいます。しかし、ふみふみをしないからといって、問題にはなりませんのでご安心を。ただ子猫の頃のクセが抜けたのだなと受け止めましょう。