株式会社RABO 獣医師
獣医師。救急医療を中心に従事し、災害医療にも携わる。宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長を経て、現在RABOに所属。Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。
「最近、以前よりご飯を食べる量が減った気がする。でも気のせいかもしれないし・・・」
猫の食事量について頭を悩ませている飼い主さんも多いのではないでしょうか。猫は食べムラが出やすい傾向があるため、食欲不振かどうかの判断がしづらい生き物だと言えます。
そこで今回は、猫の食欲不振について原因や対処法、チェックすべきポイントなどを詳しく解説します。愛猫の異変に気付いてすぐに病院へ連れて行ってあげるためには知識が必要です。愛猫と一緒に楽しく生活していくためにも、食欲不振について、獣医師が詳しく解説します。
<この記事のポイント>
食欲不振はよく見られるトラブル
最近ストレスがかかったことはないかを確認
普段と比べてどうか、他に症状はないかを欠かさずチェック
監修した専門家
株式会社RABO 獣医師
獣医師。救急医療を中心に従事し、災害医療にも携わる。宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長を経て、現在RABOに所属。Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。
動物病院勤務 獣医師
獣医師。公務員獣医師として家畜防疫、牛の改良繁殖に携わる。その後はアミカペットクリニック、アカデメイア動物病院にて小動物臨床に従事。株式会社RABOにてWebコンテンツの監修も行っている。
食欲不振とは、本来猫が食べるべき量の食事をせず、食欲が落ちている状態を言います。体調不良や精神的なストレスが理由で起こす場合が多く、食欲不振が続くことで体重減少することもあります。体重が落ちるほどの食欲不振は、病院にいく必要があります。
食欲廃絶(はいぜつ)という状態は、まったく食事を口にしなくなることを言います。食欲が落ちるどころか、まったく食べないという状態は、大きなトラブルが 隠れているかもしれません。
食欲にムラがある猫も多く、毎回決まった量を食べなかったり、丸一日見向きもしないことは実はよくあります。こうした食欲不振かどうかは個体差もあるため、明確な基準はありません。季節の変化などでも容易に食欲に波が生じます。ですので、ご飯を1~2回食べてくれないだけで病気に直結している状態とは言えません。
また、1回の食事量が下がるという場合もあります。少しは食べたけど食いつきも悪い上に残している、といった様子が見られます。
食べ飽きという状態もよく見られます。正確には飽きているわけではないという説もありますが、急にこれまでのご飯を食べなくなり、変えるともぐもぐと食べるようなケースも珍しくありません。
重要なことは、いつもに比べて食欲が減っているかどうかです。そして、ほかに症状がないかを観察することが重要です。
こちらを判断する場合、数字でも確認できると良いです 。例えば、毎日50gのご飯をたべるのに20gしか食べなかった、というようにグラム数やカロリー数でも管理ができておけるとベストです。
食欲不振のとき、ほかにも症状が見られる場合が多いです。食欲不振以外に以下のような症状がないかチェックしましょう。
<食欲不振以外の症状>
元気がない、ぐったりしている
発熱している(触ると熱い)
おしっこの回数が増えたり血尿などの異常がある
嘔吐や下痢などの消化器症状がある
このように、その他にも症状が見られる場合は早めに病院に連れていく必要があります。
関連記事:獣医師が解説|猫が吐くときは病院に連れていくべき? 何度も続く場合は要注意
1回の量が少なく回数を分けて食べる猫もいるので、「フードを出してもすぐに食べない=食欲不振」とは限りません(ただし、元気があるか、下痢をしていないかなど、ほかの状態もチェックしてください)。ほかに問題もなく元気いっぱいであれば、単純な食べムラの可能性もあります。
猫の状態をよく観察の上、動物病院にも電話で相談してみるなどを検討しましょう。
ところが、生後数ヶ月以内の子猫に関しては、様子見は厳禁です。食欲がないことが命にかかわるからです。子猫は、人間の乳児と同様に糖分を貯蔵する機能が未発達であることから、数時間おきの栄養補給が必要です。子猫の場合は成猫よりも食事の回数・量に注意を払う必要があることに留意しておきましょう。
食欲不振の判断の目安として、月齢別に以下の表の“食べていない”時間を参考にしてください。
月齢 | 食べていない時間 |
---|---|
1~2ヶ月 | 8時間 |
2~3ヶ月 | 12時間 |
3~4ヶ月 | 16時間 |
1歳以上 | 24時間 |
※出典先:JBVP - 日本臨床獣医学フォーラム
実際には、これより長くても問題ないこともありますし、逆に短くても体調をこわしてしまうこともあります。また、ご飯を食べない理由がそもそも体調によるものであれば、上記の限りではありません。あくまで目安として参考にしてください。
※生後6ヶ月以内の子猫の場合は頻繁な栄養補給が必要です。一般的に3時間ごとにご飯をあげる必要があると言われているため、食べてくれない時間が3時間を超える場合は動物病院の受診も検討しましょう。
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