株式会社RABO 獣医師
獣医師。救急医療を中心に従事し、災害医療にも携わる。宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長を経て、現在RABOに所属。Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。
生まれたての子猫を拾ったり飼い猫が出産したりした場合、ミルクや離乳食をどうすればいいか悩みますよね。いつから離乳食に切り替えればいいのか迷うこともあるでしょう。今回は、子猫の食事を離乳食へ切り替える時期や離乳食をはじめる際の注意点を紹介します。
監修した専門家
株式会社RABO 獣医師
獣医師。救急医療を中心に従事し、災害医療にも携わる。宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長を経て、現在RABOに所属。Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。
動物病院勤務 獣医師
獣医師。公務員獣医師として家畜防疫、牛の改良繁殖に携わる。その後はアミカペットクリニック、アカデメイア動物病院にて小動物臨床に従事。株式会社RABOにてWebコンテンツの監修も行っている。
子猫は、乳歯が生え始めるタイミング、つまり生後4週齢頃にミルクから離乳食に切り替えます。離乳食は、いわゆるキャットフードに移るまでの移行期間に食べさせるもので、以下のようなものが選ばれます。
離乳食をあげるタイミングは、生後4週目以降が目安です。目安はこの「4週齢」ですが、もっと重要なのは乳歯が生えているかです。歯がないと固形物が咀嚼(そしゃく)できないので、乳歯が生え始めているか踏まえて離乳食へ切り替えていきましょう。
タイミングや、あげるものの判断がつかないときは、獣医師に相談するのが良いですよ!
離乳食のあげ方や選び方でお悩みなら、LINEで獣医師に無料で相談できる窓口もあります。もちろんこの記事でも十分に解説していますが、それでもわからない場合などはLINEでぜひご相談ください。
離乳食をはじめる際の注意点は、次のようなものが挙げられます。
いきなり大量の離乳食をあげない
離乳食は消化の良いものを選ぶ
ミルクから離乳食に切り替えるタイミング
離乳食に切り替えるとき、はじめから好んで食べてくれる子猫もいます。しかし、子猫の身体や消化管は、まだ離乳食に慣れていません。そのため、大量の離乳食をあげるのはやめましょう。下痢や嘔吐などを発症することがあります。
はじめのうちは、ムースやペースト状など消化の良い離乳食を選びます。成長に合わせてお湯で溶かして柔らかさを調整できる子猫用離乳食もあります。
子猫の食事を離乳食に切り替えるとき、初期は食いつきが悪かったり途中で吐き出したりする子も少なくありません。今まで母猫のお乳やミルクを飲んでいたため、流動物をうまく咀嚼できない、飲み込めないといったことが考えられます。あるいは、離乳食を食べ物だと認識していないかもしれませんね。
子猫が離乳食を食べてくれないときは、まず味を覚えさせることが大切です。ミルクに溶かした離乳食を指に少しつけて、子猫の鼻先につけてみましょう。もちろん、ベットリつけると呼吸が出来ないので、湿らせる程度でOKです。ぺろぺろと舐めるようであれば、これを繰り返しながら少しずつお皿の流動食に誘導します。口を開けられるなら、上あごに少量ずつ擦りつける方法もあります。様子を見ながら根気強く続けることで離乳食に慣れてきます。
無理に食べさせようとせず、興味がなさそうならミルクの割合を増やすなど、焦らずじっくり切り替えていきましょう。また離乳食への食いつきが良くても、下痢になる子猫もいます。まだ胃や腸が固形物に慣れていないのかもしれませんね。
子猫の成長に合わせて、離乳食やミルクの量の調節が必要です。離乳食やミルクの適切な量や回数は、体重や週齢で変わります。ここでは、離乳食の適切なあげ方の一例をご紹介します。
ここからは、わかりやすく体重で示していますが、実際は乳歯が生えていることを確認してください。成長のスピードは猫それぞれですので、以下のステップも体重だけで判断する必要はありません。
子猫の体重が500g程度になったら、猫用ミルクの水分量を減らし、より個体に近い状態にしていきましょう。練りミルクとも呼ばれますが、猫用粉ミルクをお湯に混ぜて、ハチミツくらいの硬さになるまで練ります。
これは、固形物に備えて咀嚼の行動を練習するためのトレーニングです。
練りミルクが問題なく飲めるようになったら、離乳ペーストといつものミルクを混ぜたものを子猫にあげましょう。離乳ペーストのような専用の離乳食ではなくても、ドライフードやウェットフードをお湯でふやかしたものでも構いません(最初はウェットフードがおすすめです)。
それ以上に回数を分けても構いません!まだ胃が小さく、1度にたくさん食べられないので、時間が空きすぎないようにしましょう。
最初の離乳食にも慣れ、子猫の体重が600g程度になったら、徐々にミルクの量を減らしましょう。
減らしたミルクの分だけ離乳ペーストの量を増やして、全体の量を調節していきます。子猫も食べ物の好みが見えてきますので、食事の好みを知るために肉や魚などさまざまな離乳ペーストを試してみるのがおすすめです。離乳ペーストを変えるだけで、食いつきが良くなることもあります。
これ以上長く空けると、途中でエネルギーが不足することがあるので注意しましょう。
子猫が6~7週齢ほどになると、体重は800g程度になります(個体差があります)。この時期になると、そろそろミルクは卒業です。離乳ペーストも減らし、「ふやかした子猫用ドライフード」をメインにしていきましょう。
離乳ペーストの量が減った分、ふやかした子猫用ドライフードを増やして全体の食事量を調節しましょう。離乳食は1日に6時間おき(またはそれ以上)に分けてあげるのが目安です。
2-3カ月齢ほどで、体重は1kg程度になります。この時期になれば、歯は生え揃っているはず。そろそろ、カリカリのドライフードだけに移行していきましょう。
1~2週間かけて徐々にふやかすお湯の量を減らしていき、最終的に子猫用ドライフードのみをあげます。この段階になると、離乳は完了です。離乳食の回数は1日4回が目安ですが、回数を増やしても問題ありません。「こんなに食べて大丈夫??」と思うかもしれませんが、身体の発育や遊びであっという間に消費してしまうので、基本的には食べ放題でOKです。ドカ食いして吐いてしまう場合には、1回量を減らして、回数を増やしてあげましょう。
ある程度参考にしやすいように体重ごとで例示をしましたが、抑えておくべきポイントは「時間をかけて切り替えていく」ということです。徐々に体重が増えていくのと同じように、徐々に猫ご飯に切り替えていくことを意識してください。
近年は、豊富な種類の離乳用の専用食も販売されています。それぞれの商品によって原材料や栄養素が異なるのはもちろん、粉やペーストなど、形状にも違いがあります。
それだけでなく、カリカリのドライフードをふやかしてあげることもできますし、ウェットフードをゆるく伸ばすこともできますので、無理に離乳用の専用食を選ぶ必要もありません。
離乳食を選ぶときは、『総合栄養食』がおすすめです。総合栄養食とは、成長段階や年齢別に、必要な栄養素を満たせるように作られたフードのことです。わかりやすく言えば、「これとお水を飲んでいればOK!」というフードのことですね。
猫は年齢によって必要な栄養素のバランスやカロリー量が異なるため、フードは子猫用・成猫用・老猫用に大きく分かれています。たとえば子猫に成猫用のドライフードをあげると、離乳期に必要な栄養素が不足してしまいます。
また子猫用ドライフードは、離乳食への移行期でも子猫が食べやすいように、やわらかく小ぶりな形状で作られていることも。年齢や成長ステージにあった総合栄養食を選びましょう。
子猫は固形物を噛む力も消化能力も未熟なので、食べやすいものを選んであげることが大切です。
離乳食への食いつきが良くても、消化器官の発達が追いついておらずお腹を壊す子 猫もいます。食べ方だけでなくウンチの様子も確認しながら、猫に合う離乳食を選んであげましょう。離乳食の主な種類には、次のようなものがあります。
ムース状・ペースト状の離乳食
ウェットタイプの離乳食
粉タイプの離乳食
ドライフードをふやかす
それぞれの特徴を確認していきましょう。
はじめて離乳食に挑戦するときは、ムース状やペースト状などの水分を多く含んだ離乳食を選んであげるのがおすすめです。ムース状やペースト状の離乳食は非常にやわらかいため、噛む力が未熟な子猫でも舐めるだけで食べられます。
また、飼い主さんがわざわざお湯を混ぜる必要もないため、食事を準備する負担を減らせるのもメリットです。飲み込みや消化もしやすいため、子猫でも安心してあげられます。ミルクに溶かしやすいのも嬉しいポイントです。
少食な子猫には、ウェットタイプがおすすめです。多くは缶詰で販売されています。 ウェットフードには、猫が好む魚や肉を第一原料にして作られている商品が多いため、香りがよく、食が進みやすくなります。
子猫が食べるには少し塊が大きいため小さく潰す必要はありますが、子猫用のウェットタイプは水分が多く含まれているため、準備にそれほど手間もかかりません。
子猫によって、食べやすい離乳食は変わります。細かく調節できる離乳食がほしいなら、粉タイプがおすすめです。粉タイプの離乳食は、ミルクと同じようにお湯を混ぜてやわらかさを調節しながら食事をあげられます。
子猫は日によって体調が変わることもあるため、健康状態を確認しながら調節できるのはうれしいポイントです。ドライフードに移行するタイミングで、ふりかけのように使うことも出来ますね。また産前・産後の母猫の栄養補給にも適しています。
はじめから、ドライフードをお湯でふやかす方法で離乳食をあげる方も多くいます。これでも問題ありませんが、ふやかしたやわらかさ・固さによっては食べづらいこともあるので、お湯の量を調整しながら食べやすいやわらかさを探しましょう。
お湯を混ぜたあとは、人肌程度に冷ましてからあげるようにしましょう。やけどに注意です
ミルクから離乳食に切り替えると、子猫の食生活は大きく変わります。子猫の健康を守るためにも、離乳食をあげるときはいくつか注意点があります。主な注意点は、次のとおりです。
下痢や嘔吐をした場合はすぐに病院につれていく
おやつ食品を、離乳食代わりにしない
子猫は消化能力が未熟なため、離乳食に切り替えたタイミングで下痢や嘔吐をする子もいます。下痢が続くと栄養が不足することに加えて、脱水症状になってしまうためあっというまに衰弱してしまいます。 嘔吐は単に離乳食が合わないことも考えられますが、感染などが原因の場合もあります。下痢や嘔吐を繰り返す場合は、早めに獣医師に診てもらいましょう。
離乳食の時期におやつで代替するのはNGです。一般的に、子猫の歯が成長したら、子猫用のおやつをあげても問題ありません。たしかに、見た目は離乳食や流動食に似ているおやつもありますが、離乳食用に作られていないので、おやつから子猫に必要な栄養を摂取するのは難しいことが多いです。
成長期の子猫は、細かな体調の変化にいち早く気づいてあげることが何よりも重要です。そこでおすすめしたいのが、「Catlog Board(キャトログボード)です。
Catlog Boardは、猫用トイレの下に置くだけで使用できるデバイスです。トイレに入る度に体重や排泄量・回数などを記録してくれます。目が離せない子猫の成長を見守るうえで、大きな味方になってくれるでしょう。
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Catlogアプリを実際にさわってみるCatlog Boardは、子猫専用の「子猫モード」があります。子猫の時代だけしか使えない特典もあり、一生残る成長記録をつけましょう。「今週なにをすべきか」といった獣医師監修アドバイスもありますので、子猫を育てる上で必要な機能が満載です。
体重の増加は、子猫の健康の重要なバロメーターです。子猫モードで計測した成長の記録はスマートフォンのアプリで確認できるため、日々の健康状態のチェックにご活用いただけます。小さい頃の成長記録として、見返すのも楽しいかもしれませんね。
子猫の時期は、環境を整えることと、体調管理が非常に大事です。中には子猫にとって合わないグッズも「子猫用」として販売されていることがありますが、ぜひご自身で見て信頼できる商品を選んでください
離乳食の食べ具合や好みは、子猫によって個体差があります。また、離乳食への移行期は固形物に慣れていないことから、なかなか食べてくれないこともありますが、この記事を参考にやさしく移行することをためしてみてください。
離乳食を食べないと、必要な栄養素が不足したり、体重が思うように増えなかったりと、子猫の成長に悪影響を及ぼす可能性もあります。無理やり食べさせるのはNGですので、子猫が順調に大きくなれるように、焦らず少しずつ離乳食に切り替えて行きましょう。
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ライター
猫様のいる暮らし編集部
2匹の猫様と一緒に暮らしています。無防備になったお腹に顔をうずめ、猫吸いをさせていただくのが至福の時間。 猫様との暮らしにまつわる情報をお届けします。