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Catlog総研 第6回レポーティング! 子猫データを大解剖。子猫の運動量は成猫の3倍も!意外に知らない子猫の成長曲線も調査

Catlog総研 第6回レポーティング! 子猫データを大解剖。子猫の運動量は成猫の3倍も!意外に知らない子猫の成長曲線も調査

Catlog総研
最終更新日: 公開日:

2月22日は猫の日。春の子猫誕生シーズンに先駆けて、子猫にまつわる統計データを公開します。

研究レベルでのデータはこれまでもありましたが、実際に日本で暮らしている猫の大規模データは、実はほとんどありません。子猫の成長データや運動量など、リアルな子猫の生活から見えてきた統計を見ていきましょう!


監修した専門家

渡辺 伸一

渡辺 伸一

イリオモテヤマネコの研究で博士号(琉球大学大学院理工学研究科)を取得。イエネコに世界で初めてデータロガーを付けたことが自慢。南極のペンギン類からアフリカのチーターの研究などを経て、現在は、瀬戸内海に棲むさまざまな動物を対象にバイオロギング研究を続けている。RABOでは、動物研究者の目線から機械学習チームの開発をサポートしている。

小川 篤志

小川 篤志

株式会社RABO 獣医師

獣医師。救急医療を中心に従事し、災害医療にも携わる。宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長を経て、現在RABOに所属。Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。


子猫はこうして大きくなる! 子猫体重の成長曲線を公開

子猫は、毎日数g〜数十gほど大きくなり、1歳になる頃には3〜6kgまで成長します。今回Catlog総研では、実際に飼育されている数百匹の子猫のデータを用い、月齢ごとの成長の過程を分析しました。これは成長曲線と呼ばれ、平均的な子猫の成長過程を表します。

子猫の成長曲線 最新版

子猫体重の成長曲線

※3〜12ヶ月齢まで連続的に体重データが得られたオス137匹、メス128匹のデータを基に成長曲線を描出

線で記載しているのは、オス・メスそれぞれの平均体重です。網かけになっている部分は標準偏差(±)を表し、この網かけの中に入っていればおおよそ平均的な体重と言えます。

グラフを見てわかるとおり、3ヶ月齢からぐんぐんと成長していく子猫の様子がわかります。わずか1年足らずの間に、体重が2〜3倍程度に成長しています。

成長によって広がる性別ごとの体重差

多くの子猫は、3ヶ月齢頃に家族にお迎えされます。この時は性別差はほとんどなく、体重は1.5〜2.0kg程度です。しかし、4ヶ月齢をすぎると、性別によって差が見えてきます。

成長と共にその差は開いていき、12ヶ月齢(1歳)では、約1kgほどの差になります

1歳時点の子猫の平均体重

  • オス:約 4.6kg

  • メス:約 3.6kg

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性別によって、成長速度にも差があるようです。5ヶ月齢時点での日々の成長速度は、オスで+20g/日、メスで+11g/日と、2倍近くの差があるとの報告もあります(坂根 2004)。

月齢ごとの平均体重早見表

Catlog Boardで得られた成長曲線をさらに細かくみるために、月齢ごとの平均体重を表にまとめました。ご自身の子猫の成長の目安として、参考にしてみてください。

月齢

オス

メス

3ヶ月

1.8kg (± 0.4)

1.6kg (± 0.4)

4ヶ月

2.4kg (± 0.4)

2.0kg (± 0.4)

5ヶ月

3.0kg (± 0.5)

2.4kg (± 0.4)

6ヶ月

3.4kg (± 0.6)

2.7kg (± 0.4)

7ヶ月

3.7kg (± 0.6)

2.9kg (± 0.5)

8ヶ月

4.1kg (± 0.6)

3.1kg (± 0.6)

9ヶ月

4.3kg (± 0.6)

3.4kg (± 0.7)

10ヶ月

4.4kg (± 0.7)

3.4kg (± 0.8)

11ヶ月

4.6kg (± 0.8)

3.4kg (± 0.8)

12ヶ月

4.6kg (± 0.9)

3.6kg (± 0.7)

既存の研究結果よりも、全体的に0.3〜0.5kgほど重いという結果に

先行する学術研究(Hand et al. 2014)と比較してみると、どの期間においてもCatlogで得られた体重データの方が重いということがわかりました。

子猫体重の成長曲線、論文との比較

全体を通じて、Catlogで実際に計測されている平均体重の方が、0.3〜0.5kgほど大きいことがわかります。

完全に条件を揃えたものではないため確かな比較は難しいですが、先行研究された時代に比べ、現代では大型の純血種の飼育が増えてきたことや、フードの改良を含めた適切な栄養ケアができていることなどの要因が考えられます。

一方で、成長率のカーブに着目してみると、どの時期もほぼ同じカーブを描いています。猫の成長過程は、既知の研究もCatlogで得られたデータもおおよそ一致していることがわかりました。

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エネルギー要求量の大きい子猫が成長するには、よく食べることが大切です。しかし、子猫は胃の容量が小さいため、1回当たりの食事で得られるカロリーが限られます。そのため、食事回数を増やしたり、エネルギー密度の高いフードを選ぶなど、体重の増減をモニタリングしながら、給餌を適切に管理することが望まれます。

成長の早さには、子猫ごとに個性あり

つぎに、オスの8匹の子猫をピックアップして、それぞれの成長の様子を詳しく見てみましょう。

子猫7匹(♂)とジス(♂)の体重推移比較

成猫の平均体重に達している猫様がほとんどですが、中には体重の増加が緩やかで、かつ平均体重に達していない猫もいます。また、早く大きくなって、あとから成長が緩やかになる猫もいますね。人間と同じく、それぞれに成長速度があるようです。

栄養の不足さえなければ、平均体重に達していないとしても個体差の範疇です。

重要なことは、毎日体重が増え続けることです。子猫は、体重が停滞しても警戒する必要がありますし、ましてや減少していたとすれば、すぐに動物病院で診療を受けることが大切です。

5ヶ月齢で体重が急に減少し、FIPと診断されたジス

このグラフの中に、ジスという猫様がいます。ジスは、5ヶ月齢で体重が減少しはじめ体調を崩し、その後FIP(猫伝染性腹膜炎)と診断されました。治療の成果もあり、7ヶ月齢からは回復しはじめ、現在はすっかり元気になりました。

ジスの闘病記はこちら:note

ジスの場合、体重だけが減少しはじめ、その他には目立った症状は見られず、元気いっぱいでした。お腹は、腹水によりぷっくりしていたことから、見た目での変化にも気づきづらかったようです。

FIPは致死的な病気の一つで、子猫に多いことも特徴です。ジスの見た目は変わりませんでしたが、体重の停滞と減少に早く気づけたからこそ、治療が間に合い今に至ることができました。このことからもわかるとおり、子猫では体重の計測がとても重要です。

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子猫は、普段から元気であるがゆえに、多少の症状が隠されやすく、気づいた頃には手遅れということはよくあります。子猫の異変を見つける上で、毎日体重を測ることは本当に大切です

子猫の活動量は、成猫の3倍! 猫生で一番元気なこの時期を、大切に過ごしましょう

次に、子猫の活動量(運動時間)を調査しました。運動時間は明らかに年齢と相関があり、特に子猫(0歳齢)では飛び抜けて運動量が多いことがわかりました。

年齢が上がるにつれ運動時間が減少。一番元気なのは0歳齢(子猫)!

年齢ごとの1日の運動時間

※Catlog利用中の0-20歳の猫のうち、一定の利用環境条件を満たすサンプルを抽出し、1日の運動時間の平均(走った時間と歩いた時間の合計)を算出。期間:2023年1月1日〜2023年1月31日 、n=7,469(外れ値を除く猫数)

年齢ごとに、1日の運動時間(歩いた時間、走った時間の合計)の平均を見てみると、きれいに右肩下がりの傾向があることがわかります。若いほど1日の運動時間が長く、年齢が上がるにつれて運動量が減っていますね。

もちろん、加齢により筋肉や運動欲求の衰えはありますが、猫では、12歳以上の高齢猫の90%以上に関節の異常が認められるというデータもあります。こうした加齢による身体的な弊害も影響しているかもしれません。

子猫の運動時間は、成猫の3倍

子猫(0歳齢)だけを切り出してみると、成猫の運動時間に比べ、約3倍も長いことがわかります。

子猫と成猫の平均運動時間

  • 子猫:平均 16.8分/日

  • 成猫:平均 5.8分/日

0歳の子猫が、いかに元気なのかがわかりますね。1歳になると、運動時間は約30%も減少します。子猫の時期は1年しかありませんので、貴重なこの期間にたくさん写真やデータの記録を残しておきましょう。

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全年齢の1日の平均運動時間は6分程度でしたが、「これだけしか動いてないの?」と思われる方も多いはずです。ネズミなどの小動物を餌としている野生ネコの場合、餌を探すために、より多くの時間を歩く時間に費やします。毎日、餌を探して歩く必要がないため、飼育された猫様ではこのように運動時間が短く、1日のほとんどの時間をゆっくり過ごしているようです。
成猫になってからもたくさん遊んで運動習慣を

年齢を重ねても、運動時間が減らさない工夫も大事です。休日に遊ぶ時間を増やしたり、高低差のある遊び場所(キャットタワーなど)を設けたりして、運動不足にならないよう意識しましょう。

たった1年しかない子猫の時期の変化を大切に

子猫の時期は、おおよそ12ヶ月齢(つまり1歳)までです。この時期は、日々ぐんぐん成長し、元気いっぱい過ごすことがデータでもわかりました。

この時期の成長や生活の記録は、まるで私たちが実家の柱に背丈をメモした跡のように、一生の宝物になります。

同時に、子猫では異常に気づくのがむずかしいのも事実です。FIPを発症してしまったジスのように、体重以外に異変が見られないこともよくあります。毎日の体重計測は、子猫との生活においてとても重要であることを改めてご理解いただけたのではないでしょうか。

本記事の統計は、Catlogシリーズで得られた60億件以上のデータに基づき分析しています

本記事でご紹介した統計は、首輪型デバイス『Catlog』と、トイレと併用するデバイス『Catlog Board』から得られたデータ(60億件以上)を用いて分析しています。

Catlogは、子猫からシニア猫まで一生使える猫様専用のデバイスです。猫がいま何をしているかがわかるだけでなく、日々のコンディションや体調の変化をアプリで教えてくれます。

Catlog Boardには、子猫しか使えない特別な機能もあります。毎日の体重計測や、毎週の育て方アドバイスを教えてくれるだけでなく、これらが月額無料でご利用いただけます(最大6ヶ月間)。

子猫とお暮らしの方は、ぜひCatlogの利用をご検討ください。

<参考文献> Michael S. Hand, DVM, PhD Craig D. Thatcher, DVM, MS, PhD、Rebecca L. Remillard, PhD, DVM Philip Roudebush, DVM、Bruce J. Novotny, DVM「小動物の臨床栄養学 第5版」(岩﨑利郎, 辻本元, 監訳) 坂根弘(2004)連載講座:イヌ・ネコの基礎栄養(14)イヌ・ネコのライフステージと栄養(その2).ペット栄養学会誌 7 (2): 67-79.

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ライター

Catlog総合研究所

Catlog総合研究所

「Catlog」シリーズを利用いただいている猫様から取得・蓄積された行動ログデータや体重・排泄データなどを活用した研究機関。 猫様の行動や習性をよりよく理解するきっかけとなる研究データをお届けしてまいります。


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Chief Cat Officer ブリ丸

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