RABOのデザイン文化: 経営とデザインのシームレスな統合
今回はRABOのデザインチームが登場!そのユニークなデザイン文化とチームワークの重要性について掘り下げます。デザインVPである@zomiさんと@kironさんが、RABOのデザイン意思決定のプロセスと、デザインチームでの協力のあり方についてご紹介します。
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Nozomi Korin
株式会社グッドパッチや大手出版社などでUIデザインに携わる傍ら、議論の促進を促すグラフィックレコーディングの実践や講師を経験。好奇心と挑戦心を活かしてプロダクトのみならずチーム全体をモチベートしデザインする。愛猫二匹を愛でるのが日々の糧。
RABOデザインチームが描く、愛猫家向けの革新的サービス「Catlog」
― おふたりの自己紹介と、社内での役割について教え てください。また、RABOにジョインすることになったきっかけは何でしたか?
@zomi: デザイナーの@zomiです。RABOでは、プロダクトにまつわるデザインをデジタル・アナログ問わず手掛けています。具体的には、プロダクトデザイン、マーケティングクリエイティブ、コーポレートブランディングなど、ほとんどのデザイン業務を幅広く担当しています。RABOに興味を持ったきっかけは、実は@kironからのお誘いが最初でした。私は猫様2匹と暮らしているのですが、誘いを受けた新しいプロジェクトの領域や新規性がとても魅力的だと感じ、2019年に最初は副業としてブランディングの整理から関わり始め、プロダクトに対する共感が深まって正式に入社を決めた流れですね。入社自体は、ちょうどプロダクトローンチ前のタイミングくらいでした。
@kiron: 同じくデザイナーの@kironです。担当は@zomiさんと似ていますが、私の場合はソフトウェアのプロダクトデザインだけでなく、ハードウェアに関するデザインも手がけています。また、最近は米国でのマーケティング活動にも力を入れているところです。RABO設立前から代表の伊豫とは知り合いで、以前一緒に仕事をしたこともあります。起業するにあたって、何か手伝えることはないかと思っていたところ声をかけてもらって、実際にジョインしたのは2022年ごろ。前職の業務もキリが良かったことも合って、そのタイミングでフルタイムでのコミットを決めました。
― あらためて「Catlog」って、デザイナーの2人から見るとどういうサービスです か?
@kiron: Catlogは、猫様たちが話すことができない分、彼らについての全てを可視化しようとするサービスかなと考えています。飼育自体をサポートすることは基本ですが、その先にはもっと大きな目標があります。それは、可視化を通じて、飼い主さんと猫様との愛情をさらに深めていくこと。猫様の様子がより理解できるようになることで、結びつきが強くなるようなサービスを目指しています。
@zomi: 猫様との日常生活では、飼い主さんなら「今日は元気そう」とか「普段と違うかな」といったことが感覚的にわかるものです。でも、感覚だけでは見逃したり誤解してしまうこともありますよね。Catlogはそんな飼い主さんを客観的なデータでサポートする「縁の下の力持ち」のような役割を果たすサービスです。飼い主さんと猫様との絆を深める手助けをする、という点で@kironと全く同感ですね。
― なるほど。「絆が深まる」ことを大切にする上で、表現的に工夫していることなどはありますか?
@kiron: 猫様たちは言葉で「これがほしい」「あれが苦手」と伝えることはできません。そのため、飼い主さんも「もっと良いことをしてあげたい」と思っていても、具体的に何をどうしたらいいのか、手がかりが少ないと思うんですよね。Catlogが提供するデータを通じて、飼い主さんが猫様の知らなかった一面に気づき、さらに積極的にケアをするきっかけになればと思っています。なので、まずはこのデータを上手く表現することで、家族としての絆を深め、お互いの理解を促進できるように試行錯誤しています。
@zomi: 絆の深まりを表現する上で象徴的なのが、アプリ内の「猫」画面で、アプリを開くと最初にこの画面が表示されます。データって聞くと少し難しそう、あるいはちょっとお固い印象を持たれがちですが、ここでは飼い主さんの感情に寄り添うように、ご自身のご愛猫様を想起しやすいエモーショナルな表現を心がけています。まるで猫様がいつもそばにいるかのような、安心感や親しみを感じられる体験を提供することで、飼い主さんと猫様の間の絆をさらに強められるよう工夫しています。
― 面白いですね。一方で、Catlogの持つ技術を「猫様の健康管理」にはどのように活用しているのですか?
@zomi: 首輪型及びボード型のデバイスを通じ、AIを用いて猫様の微細な動きを解析しています。これによって猫様の行動パターンの変化を検知し、健康状態に何か異変が起きていないかを飼い主さんに通知することができます。例えば、元気の低下やトイレに関する問題など、日常的に取得するデータの変化から健康上の問題を示唆します。また、必要に応じて病院への受診を勧める際には、アプリからCatlogのレポートを出力できるようにして、獣医師さんたちとのコミュニケーションもサポートできるようにしています。
@kiron: もちろん技術の利用にあたっては、薬機法などの法律の範囲内で行うことが大前提です。また、AIの分析結果が100%正確ではないという技術的な限界もあるため、提供する情報はあくまで健康問題の可能性を示唆するものであり、具体的なアクションを促す際には慎重な表現を心がけていますね。
@zomi: ですね。それに関連した話として、アラート表示などは過剰な恐怖を煽らないように配慮しています。例えば、グラフィックの色使いを調整することで、情報を伝えつつも、飼い主さんを不必要に不安にさせないようにしていたり。
@kiron: こういったアプローチを評価いただいたこともあり、カスタマーサポート宛に感謝のメッセージや手書きのお手紙をいただくこともありますね。私たちの仕事が、実際に飼い主さんと猫様の生活にポジティブな影響を与えている証でもあるのかなと感じています。
@zomi: 実際、うちのねこたちもCatlogの技術によって命を救われたことがあります!尿道閉塞の兆候をアプリのデータから察知し、早期に獣医師の診察を受けることができたんです。少しでも遅れていたら、もっと深刻な健康問題に直面していたかもしれないと思うと、文字通り命を救われた気持ちです...!
愛猫家の心に響かせたい...!熱いチャレンジが続く開発プロジェクト
― すごいですね!そんなおふたりにとって、最もチャレンジングなプロジェクトは何でしたか?
@zomi: うーん、すべてのプロジェクトが挑戦的ですね(笑)。さらに言うと、常に挑戦のレベルが上がっていく感じすらありますね。経営そのものに近いところでデザ インを行うときの、緊張感やヒリヒリするような感覚とかも含めると...
@kiron: そうですね。「デザイン」と一言で言っても、マーケティングやコーポレートデザインなども含まれますから、いろいろなことが同時に進行している状況で柔軟に思考を切り替える必要があります。さらにそこに、スタートアップ特有のスピード感も求められるため、じっくり考える時間がなく、すぐに考えを実行に移すスキルが必須になってきます。各プロジェクトでの考え方のポイントは少しずつ異なりますが、例えばマーケティングでは、まだ製品やサービスを使っていない人の利用シーンを想像しながらデザインする必要があるので、ターゲットを切り替えながら考える必要があります。プロダクトデザインにおいては統一された方針やブランディングに基づく作業が多いですが、それをマーケティングに落とし込む際には発想の幅を広げる必要があったりしますよね。
@zomi: そうですね、まさにその時々で使い分けるアプローチを大切にするようにしてますよね。「誰に届けるのか?」という基本的な問いが常に根底にあるようなイメージで。LINEでの接客対応やユーザインタビューなどを通じて、誰が何をどのように検討しているのかを深く理解し、それに応じた見せ方を都度工夫しています。つまり、対象となる人々に最適な解像度でデザインを提供することを心掛けている、ということでしょうか。
― 飼い主さんの心に響かせたいデザインを作成する際、どのように検討するのですか?
@zomi: 猫様の飼い主さんを対象としたデザインをする上で、例えば猫様と暮らす社内メンバーの意見を聞くことから始めたりもします。社内レビューを通じて、リアルなフィードバックを得ることができ、それを元にしたデザインをブラッシュアップしていきます。意外にも社内からはえこひいきなしの、フラットで素直な意見が多く、これが大きな助けになっています。特に、カスタマーサポートチームは、デザインプロセスに関わることに大きな喜びを感じてくれているようで、とてもありがたいです。
@kiron: あとはやはり、ユーザインタビューは重要なツールとして活用していますね。インタビューには様々な形がありますが、Catlogのデザイン検討プロセスにおいてはアプリやサイトの使い勝手を調査するユーザビリティテストから、飼い主さんの思考や生活スタイルを深く掘り下げるデプスインタビューまで幅広く実施しています。これらのインタビューを通じて、飼い主さんの真のニーズや課題を理解し、それをデザインに反映させることを心がけていく感じです。
@zomi: 余談ですが、インタビューをする中でCatlogの機能や価値を紹介すること自体が、時にはマーケティングそのものになっていることもありますね!飼い主さんの反応や意見を直接聞くことで、新しいマーケティング戦略を思いつくこともあったり... (笑)
経営とデザインが近いからこそできる、”主観性”を活かしたデザイン
― 猫様と暮らしている経験は、デザインにどのように役立っていますか?
@zomi: 私自身は、「機微の部分」に着目するようになりました。猫様と飼い主さんの関係に配慮したニュアンスを大切にし、UX設計においてもその振る舞いを意識し ています。たとえば、調子の変化を知らせる機能「ようすモニター」では、猫様と飼い主さんの間に立つような客観的なメッセージングを心がけています。また私個人の考え方としても、猫様自身を尊重したいと思っているので「〜ニャ」みたいに猫様になりすますような表現は避けています。元々ある絆を尊重しつつ、さらに深めることを目的としたデザインをできる限り重視しているつもりです。
@kiron: 私自身は猫様と暮らしてはいないのですが、実はその立場もデザインには大いに役立っています。猫様オーナーでないからこそ、客観的な視点から質問ができ、それがデザインの細部へのヒントになることが多々あります。飼い主さんが無意識に行っている行動や、気づきづらいポイントに注目できたりとかですね。そういった観点は、飼い主さんが見落としている部分にむしろ気づけますし、デザインの細部や機能の開発に大きく貢献しているんじゃないかなと感じています。
― なぜRABOでは、そういう「主観的な」デザインの意思決定ができるのでしょうか?一般的には、デザインと言えどKPIなどの数字に追われがちになりそうな気もしますが…
@zomi: デザイナーである私たち2人はVPの役職を持ち、経営チームの一員でもあります。そのため、デザインの意思決定は経営レベルで行われていると言えると思います。また、デザインに対する基本的な理念や価値観が、自然と経営チーム全体で共有されている感覚があります。結果として、顧客満足度が非常に高く、利用継続率が98% に達していることからも、私たちのデザインに対するアプローチが正しい方向であるという自負はありますね。
@kiron: 加えて経営チームのメンバー全員が、デザインの重要性を理解し、デザインに関する判断を一貫して支持してくれていると思います。経営チーム全体のデザインに対するビジョンが揃っていることは、ボトムアップのKPIなど定量的な目に見える指標を超えて、より強固で柔軟なデザインの意思決定を可能にしてくれているのではないでしょうか。
― それはRABOならではですね!その”主観性”に、インタビューなどの”客観性”をミックスしていると。
@zomi: はい!実際にユーザーインタビューに力を入れ始めたのは最近のことですが、今ではそれが私たちのデザインプロセスの重要な一部となっています。お客さまの声を直接聞くことで、皆さんのニーズや課題の理解が深まり、デザイン検討の解像度が上がった実感があります。
@kiron: あとはインタビュー以外でも、お客さまから頂く多数のフィードバックがカスタマーサポートチーム経由でプロダクトバックログに日々ストックされています。これらも日々のデザイン改善のための貴重なリソースとなっており、実際にプロダクトを使ってみることで見つかる課題と合わせて、改善検討に役立てています。
オープンな議論を恐れない。最高のものづくりを目指すチームへ
― RABOのデザインチームで働く上で、最も重要だと思う要素は何でしょう?
@kiron: 私たちのチームでは、全てを「オープン」にしてデザインを進めることを重視しています。個々のメンバーがそれぞれ閉じこもって作業するのではなく、作業中のもの に対してもフィードバックを受けながら、共同でより良いデザインを目指していく文化が根付いていると思います。このオープンなアプローチは、多様なアイデアを取り入れながら優れたデザインを生み出す基礎となっていると感じていますね。
@zomi: デザイン作業では、上流工程である企画から始まってデザイナーがそれを引き継ぐ、という流れが一般的かもしれませんが、RABOでは「デザイナーが、その企画を主体的に発展させる役割を担っている」と強く意識するようにしています。なので、たとえ反対意見があってもそれを取り入れながら、良い意味で自身のデザインだけに固執せず、サービス全体の質の向上を目指しています。この柔軟な姿勢が、実際に価値のあるものを提供することにつながっているんじゃないかなと思いますね。
@kiron: そうですね。そもそもデザインに絶対的な正解はないですし、異なる意見やフィードバックを受け入れる柔軟性は重要です。率直な意見交換を通じて、最終的なデザインの質を高めていくことができますので。
@zomi: あとは、いつもどこかしらに遊び心を取り入れたり、自分たちの意思を反映させることも大切にしています。情熱や楽しみも共有しながら、チームとしてもチームを超えても一丸となって協力し合っています。
@kiron: はい、お互いの信頼もチームワークには欠かせない要素ですね。反対意見が出ても、それにはそれなりの理由があるし、そういったことも含めて理解し合うことが、良いデザインを生み出す基盤となるはずです。
― RABOでの仕事を通じて、おふたりの今後の成長はどのように考えていますか?
@zomi: 私自身は、特定の領域に固執することなく、時々で直面する課題解決に向けた提案をしていきたいです。そのために、物事の本質を正しく捉える力を磨いていくことが重要だと思っています。もちろん、デザインスキルの向上も忘れずに、特にクリエイティブ領域のトレンドには敏感でいたいですね!しっかりトレンドを追いながら、個性的で魅力的なデザインを作り出すことにはこれからも情熱を注ぎたいなと。
@kiron: 私も@zomiさんと似た考えを持っていますが、特にCatlogのデバイスやサービスが増えていく中で、それらを俯瞰してマネジメントできるスキルを身につけたいと考えています。ブランド全体を概観し、統一されたメッセージがお客さまに伝わるようにデザインを管理できるようになっていくことが、今後の目標のひとつです。
― デザイナーとして「Catlog」の将来についての構想はありますか?
@kiron: 「Catlog」は猫様と暮らす飼い主さんにとって、欠かせないサービスになっていくと思います。ただの「便利なツール」ではなく、猫様との生活をより幸せで充実したものに変えていくサポートをしたいですね。猫様を家族の一員として考え、その生活にポジティブな変化や影響をもたらすような存在になることが目標です。個人的には、「猫様オーナーのためのライフスタイルブランド」としての発展があると良いなとも思っていて、Catlogで収集されるデータを元に、飼い主 さんを取り巻くさまざまな体験に影響を与えることができたら理想ですね!そんな感じの、IoTの枠に留まらない幅広いアプローチを模索していきたいです。
@zomi: 最近は、猫様を迎えると同時に「Catlog」を導入するご家庭も少しずつ増えてきており、猫様との生活が少しずつ変わりつつあることを実感しています。今後は、収集された膨大なデータを活用した新たな展開を考えていきたいです。このデータは、猫様だけでなく、人間の領域にも貢献できる可能性があるかも知れないので、猫様に限定されないさまざまなアイデアを探求していきたいと思っています。
全てをデザインし、デザインで世の中を豊かにしたい人、お待ちしています!
― おふたりが「一緒に働きたいデザイナー」ってどん な人ですか?
@zomi: 理想を言えば、アウトプットに貪欲でありながらも、臨機応変で素直なデザイナーですかね。様々な状況を自らが積極的にリードし、主体的に挑戦を続ける姿勢を持つ人が合っているんじゃないかな。
@kiron: オープンな姿勢で、チーム全体と議論やレビューを通じて、本質的に良いものを作り上げることにやりがいを感じていただける人は大歓迎ですよね!その時々のゴールを見据えて、共にデザインを作っていける方が理想的かなと思ってます。
― 将来的にRABO社で働くことに興味を持つかもしれないデザイナーに向けて、一言メッセージをお願いします。
@zomi: RABOには、デザイナーとして挑戦できるフィールドが驚くほど豊富にあります。枠に囚われることなく、自分の能力を存分に発揮できる環境も整っています。自由にアウトプットを追求し、全力投球しながらスキルも磨きたい方には最適な場所です!
@kiron: ほんと、やろうと思えばできることが無限にあります!UI、UX、クリエイティブといった領域の枠組みに関わらず、自分の力を全方位に発揮して活躍したいデザイナーにとって、RABOにはとてもオープンな環境があります。ここでなら、ご自身の可能性を最大限に引き出すことができると思いますよ!
― @zomiさん、@kironさん、本日はありがとうございました!
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ニンゲンは猫様の下僕。私の好きな言葉です。
RABO, Inc.
Chief Cat Officer ブリ丸