株式会社RABO 獣医師
獣医師。救急医療を中心に従事し、災害医療にも携わる。宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長を経て、現在RABOに所属。Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。
新たな家族として子猫を迎えようと思っている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
迎える側も迎えられる側も、快適に生活できることが理想ですよね。これから子猫を迎えるのなら、準備するべき物や育て方・病気に関しては確認しておいたほうがいいでしょう。
本記事では、子猫を迎えるときに揃えておきたい準備物や用意、月齢ごとの育て方を解説します。
監修した専門家
株式会社RABO 獣医師
獣医師。救急医療を中心に従事し、災害医療にも携わる。宮崎犬猫総合病院 院長、TRVA夜間救急動物医療センター副院長を経て、現在RABOに所属。Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。
アリアスペットクリニック 院長 / 臨床獣医師
神奈川県の地域中核病院でジェネラリストとして経験を積みながら、学会発表も行う。2019年アメリカ獣医内科学会で口頭発表。アニコムホールディングスに入社後は#stayanicomプロジェクトの中心メンバーとしてコロナ禍のペット救護に当たる。2020年から現職。得意分野は運動器疾患、猫使い(使われ)。
子猫を迎える前にまずは必要な環境とグッズを揃えましょう。
アパートやマンションの場合はペットの飼育が可能かどうかの確認を行い、近くの動物病院を調べておきましょう。また、ケージやトイレ用品も猫を迎える前に購入し、組み立てなどの準備が必要になります。
詳しくはこちらの記事「子猫を買う際に必要な準備とは?事前に用意するグッズと注意点を紹介」をご覧ください。
子猫を家に迎え入れてからすぐの段階では、環境の変化によるストレスから免疫力が低下しやすく体調を崩しやすいです。また、ノミやダニの寄生を受けていることもあるため、動物病院での検査は重要です。
感染症に感染していない、ノミやダニに寄生されていない場合でもワクチンの接種により感染予防をすることが大切です。
ひと口に子猫と言っても週齢・月齢によって世話の仕方が異なります。お迎えする子猫がどれにあたるのかを確認して、それぞれの月齢に応じた世話の仕方で育てましょう。
生後1ヶ月目の子猫は、歯が生えそろってくるため離乳食への切り替えの時期になります 。また、生後1ヶ月頃までは自力で排泄ができないため、母猫や飼い主の手を借りて排泄をしますが、この時期になると自分で排泄できるようになります。そのため子猫用のトイレを設置してトイレの練習をしましょう。
また、歩き始めの子猫は色々な場所にぶつかってしまうことがあります。この時期の子猫にものが落ちてしまうと怪我を負わせてしまうかもしれません。危険を避けるために基本的にはケージの中で生活させるのも良いかもしれません。安全で安心できる環境を整えてあげましょう。
生後2ヶ月目の子猫は歯が生えそろう時期で、ご飯を離乳食からウェットフードやドライフードに移行していく時期です。まだドライフードは食べづらいので、ぬるま湯でふやかしてあげるなど工夫しましょう。食事は1日で必要な量を3~5回(またはそれ以上)に分けて、たっぷり与えてください。同時に飲み水も与えましょう。
気を付けなければならないのはワクチンです。生後2ヶ月目になると産まれたてのころの初乳で得られた抗体による免疫力が低下しはじめます。ワクチンプログラムはさまざまな考え方があるため、動物病院によっても方針が違いますが、おおむねワクチンは、この頃から数ヶ月かけて複数回接種することになります。接種する時期は獣医師と相談の上、決めましょう。
このほか、体重は約1kgになり、猫としての習性が目立つと同時に、しつけ やトイレのトレーニングも必要になります。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
生後3ヶ月頃になると、より元気いっぱいになってきて、家中を駆けずり回るようになります。たくさん遊んであげましょう。色々なしつけをしたい場合は、この時期から始めるのをおすすめします。また、2回目のワクチン接種についてもかかりつけの獣医師と相談しましょう。キャリーケース(クレート)に入れて連れていきましょう。お風呂は入れてもいいですが、動物病院の方針に従いましょう。お風呂についてはワクチン接種(2〜3回目)が完了してからでも遅くありません。
生後3ヶ月目になるとドライフードだけでもモリモリ食べるようになります。この頃は「自由採食」といって、「食べるだけあげる」でも構いません。食欲にムラがでることもありますが、1回ご飯を食べないぐらいならそれほど問題はありません。ですが、下痢嘔吐があったり、飲み水にも口を付けなかったりすると問題です。飼い主だけで判断せず、獣医師に相談をしてください。
お留守番もできるようになりますが、長時間のお留守番はできるだけ避けるとともに、留守番時はケージの中で過ごしてもらいましょう。
体重は猫種や性別によって異なり ますが、おおよそ2㎏前後になります。ご飯も飲み水も増えてくるので、しっかりたっぷり与えるようにしましょう。特にご飯に関しては固めのものに移行していくタイミングです。少しずつ柔らかい物から硬いものに変えてください。
やんちゃな盛りの生後4ヶ月では、噛み癖が出てくることも。甘噛みを覚えてしまうと成猫になったときにも噛み癖が抜けなくなってしまうこともあるので注意してくださいね。実は噛み癖が出るのには理由があり、歯の生え変わりにより違和感があることが理由のひとつと言われています。生え変わりで抜け落ちる乳歯はほとんどの場合猫がそのまま飲み込んでしまいますが、時折落ちていることもあります。子猫の成長の証となる乳歯、見つけることができたらラッキーかもしれませんね。
また、そろそろ長時間のお留守番もできるようになってきますが、外泊はまだ早いかもしれません。一番やんちゃな時期ですので、お留守番の時は、引き続きケージの中で過ごしてもらう方が良いでしょう。これは、誤飲防止や迷い込み防止のためです。 トイレは問題なくできるようになっているはずですが、まだ失敗することもあるので注意が必要です。また、嫌がらなければ、お風呂も挑戦してみてください。最初は、風呂桶のようなところでそっと入れてあげるのが良いですね。 性が成熟してくるタイミングでもあります。避妊去勢をするかどうかも家族で話し合いましょう。基本的には、性ストレスの観点と疾病予防の観点から、避妊去勢が推奨されることがほとんどです。
生後5〜6ヶ月の子猫は体重が成猫と同じ程度の2.5~3kgになります。永久歯が生えそろう時期でもあります。乳歯が抜けないまま永久歯が生えてきてしまっていれば、ワクチン時などに獣医師に相談してみてください。事前に避妊去勢の相談はしておきましょう。5〜7ヶ月くらいで避妊去勢を受けることが多いです。避妊去勢にはそれぞれの飼い主の考えがありますが、病気のリスクや、(子作りをしない場合は)性ストレスが開放できないことなどから、一般的には避妊去勢(不妊手術)が選択されます。
生後7ヶ月目以降は成猫と変わらないご飯と飲み水を口にし、体重も成猫さながらになってきます。避妊去勢をすると、ホルモンバランスの関係で太りやすくなりますので、これまでのように「食べるだけあげる」から考え方を変えていく必要が出てきます。体格も安定してくるので、ケージから出して育てることもできます。お風呂もトイレも問題なくできるでしょう。ワクチンの接種も1年後になるのでしばらくは余裕も出てきます。
しつけをすることも少なくなってきます。この時期から1歳になるまでに、フードは子猫用から成猫用に変更しましょう。急に変更するとお腹をこわしたりすることも多いので、混ぜながら徐々に変更をしていってください。
子猫期の適切な食事は、健康な猫の体づくりに欠かせません。ここでは月齢ごとの子猫の食事の量や回数、あげてはいけないものなどを解説します。
また、それぞれの詳細については別記事「【獣医師監修】子猫のご飯のあげ方|食事の選び方から量・回数・ 注意点」をご覧ください。
生後1ヶ月までの子猫は哺乳期となります。そのため、母猫の母乳もしくは市販の子猫用ミルクを与えます。また、生後1ヶ月〜2ヶ月ごろは哺乳期から離乳期へ移行する時期となるため、子猫用のウェットフードやペーストタイプのウェットフードを活用して十分に歯が生えそろっていない子猫に適した食事を与えましょう。3〜12ヶ月ごろになると骨や内臓が発達してきますが、まずは歯応えのあるドライフードのみを与えるのではなく、ドライフードとウェットフードを混ぜて与えるなど食べ慣れるための工夫をしましょう。
人間の食べ物の中で猫が食べてはいけないものは多数ありますが、子猫に関しても同様です。子猫は成猫に比べて体が小さく、少量でも症状が出やすいことがあります。子猫に与えてはいけない食べ物を以下にまとめたので、食事を与える際は十分に注意してください。
・ネギ類
・チョコレート
・スパイス類
・生のイカ、タコ、エビ
・あわびやサザエの肝
・生卵
・生の豚肉
・骨
以上に挙げた食べ物は子猫にとって有毒であったり、中毒症状を引き起こすこともあります。子猫が食べても大丈夫なものであるかを事前に確認することはもちろんですが、子猫がうっかり食べてしまって体に異変が生じた場合にはすぐに動物病院を受診しましょう。
子猫のうちは免疫力が十分でないため、飼い主は特に注意して健康管理に努めなければなりません。ここでは子猫の健康管理の方法について解説します。
子猫は体調を崩しやすいので、日々の健康チェックで異変を見逃さないようにすることが大切です。また、猫が病気にかかっているサインに気づくためにはスキンシップを通して自然な流れで健康チェックを行うようにしましょう。例えば、撫でてあげる中で皮膚の様子や腹部の状態をチェックしたり、耳を触ることで耳の中をチェックしたりすることができます。毎日健康チェックをする習慣がついていると、何か異変があった際にすぐに気づくことができ、早急に対処することができます。
食欲や排泄、体の状態に異変を感じたら動物病院を受診しましょう。具体的には、目が開けられない、息遣いが荒い、鼻や耳が白っぽい、腹部が膨れる、触ると痛がるなどといった様子が見られる場合には、貧血や腹膜炎、命に関わる病気にかかってしまっていることが考えられるため、早めに動物病院に相談しましょう。
猫の健康管理には、Catlog Board(キャトログボード)がおすすめです。
トイレに入るたびに猫の体重や排泄物の量・回数を自動で記録するため、健康状態の管理が非常にやりやすくなるでしょう。
コードレスなので置き場所にも困らず、誤ってコードを噛んでしまう心配もありません。猫の健康管理には最適なアイテムです。すくすくと育つ子猫の成長記録としてもおすすめです。
トイレの習慣や爪研ぎ、歯や体毛のケアなどは、子猫のうちからきちんと教えることで成猫になったあとも健康管理やケアがやりやすくなります。子猫の場合、しつけは生後2~3 ヶ月頃からスタートさせると効果的です。
猫を訓練する際は、直後に指導する、一定のルールを維持する、過度に叱らない、という3つのポイントを心がけましょう。ここでは、子猫のうちから訓練したほうが良いしつけについて解説します。
子猫を育てる際に1番最初に身につけて欲しいのは正しいトイレの仕方です。一度間違った場所をトイレの場所だと認識してしまうと、その後も継続的に誤った場所でトイレをし続ける可能性があります。子猫のうちに正しい場所でのトイレを身につけることが大切です。
また、きちんとトイレで排泄できた際にはしっかりと褒めてあげることも重要です。トイレに失敗して叱ってしまうと、トイレ自体が悪いことであると認識してしまい、その後も隠れてトイレをしたり、トイレを我慢して膀胱炎になったりしてしまうことがあります。トイレに失敗しても決して怒らずに対処法を考えましょう。
猫にとっても飼い主にとっても爪を切ることはとても大切です。爪切ることで怪我の予防や家具や部屋の傷の防止につながります。爪を切る際には少しづつ切り、猫が嫌がる時は中断するようにしましょう。また、生後5週間ごろになると猫は爪とぎをし始めます。これは本能的な 行動で爪とぎ自体をやめさせることは難しいです。
そのため、飼い主は爪とぎと上手に付き合っていく必要があります。まずは子猫にあった爪とぎ器を用意します。そして子猫がその爪とぎ器を使用して上手に爪とぎをしてくれるようにしつけましょう。このときもトイレのしつけと同様に失敗しても決して叱ってはいけません。上手にできたことには素直にしっかりと褒めてあげることが大切です。
子猫には歯が生えていないため、歯磨きをする必要はないと考えている方も多いかもしれません。しかし、成猫になってから歯磨きを覚えてもらうのはとても大変です。猫の歯磨きはなるべく子猫のうちから始めて、猫自身にその習慣に慣れてもらいましょう。具体的には、乳歯から永久歯に生え変わる生後半年前後から始めると良いでしょう。
猫のブラッシングには様々な効果があります。毛並みを整えることはもちろん、毛球症の予防やノミ・マダニの付着防止、体調や体型の変化に気づくきっかけにもなります。こまめなブラッシングは猫の健康維持につながります。
そのため、子猫の時期からブラッシングに慣れてもらうことが必要になります。生後3〜4ヶ月ごろからブラッシングをスタートし、初めは慣れるために 優しくコミュニケーションの一貫として行うよう意識しましょう。子猫が嫌がる場合は無理はせずに少し間を置いてから挑戦するなどブラッシングが猫にとって嫌なものにならないよう工夫しましょう。
猫は「水が苦手」と言われることも多く、お風呂が苦手な場合が多いです。子猫のうちにお風呂に慣れておくことでその後も快適に過ごすことができます。ただ生まれてすぐの子猫は免疫力が低く、体調を崩す可能性が高いため、子猫の初めてのお風呂は最初のワクチンが済んでからが良いでしょう。子猫をお風呂に入れる際は子猫の健康状態をチェックし、様子が少しでもおかしい場合はお風呂に入れるのを延期してください。
また、子猫は顔と足先が濡れることを嫌う場合が多くあります。すぐにお風呂に入れるのではなく濡らしたタオルで拭いて練習する、シャワーの音を聞いてもらうなどちょっとした工夫でお風呂に慣れてもらいましょう。
筆者の場合、子猫を迎えた時、特に重視したのは初期のしつけでした。
まず、家具や個人の物への噛み癖を防止するため、子猫にはごはんやおもちゃ以外の物を噛まないように教えました。また、子猫の全身を触わっても怒り出さないように、子猫の内から全身を触られることに慣らす練習 もあわせて行いました。
ほかにも、「ダメ」「おすわり」「待て」などの基本的な指示を子猫の頃にきちんと覚えてもらうことによって、現在でも動物病院に行く際や日常の中でのケアがずっと容易になっています。
子猫を新しい家族の一員として迎えるには、さまざまな準備が必要です。また、迎え入れる月齢によっても世話の仕方が変わるので、大変なことも多くあるでしょう。しかし、猫も飼い主も安心して同じ空間で過ごせるようにするためにはどれも大事なこと。子猫を迎えるにあたって、本記事を参考に準備を進めてもらえれば幸いです。
子猫の健康管理が自分でできるか心配な飼い主は、Catlog BoardやCatlogを使うのも方法のひとつです。人間の目ではなかなか気づけないような、猫の些細な体調の変化をいち早く察知できます。大切な新たな家族との幸せな日々をより健やかで安心なものにしていくためにも、ぜひCatlog BoardとCatlogを猫の健康管理にお役立てください。
生後7ヶ月ごろ〜になると室内で放し飼いすることができるようになるでしょう。この時期になると、体格も 安定してお風呂やトイレなどしつけすることも減ってくるため、ゲージから出して生活することができます。
詳しくは記事内「猫の月齢ごとに適切な育て方をする」をご覧ください。
離乳食からドライフードに切り替わる生後2ヶ月ごろから水を飲み始めます。
詳しくは記事内「猫の月齢ごとに適切な育て方をする」をご覧ください。
生まれてすぐの子猫は免疫力が低く、体調を崩す可能性が高いため、子猫の初めてのお風呂は最初のワクチンが済んでからが良いでしょう。
詳しくは記事内「子猫のうちからやると良いしつけ」をご覧ください。
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ライター
猫様のいる暮らし編集部
2匹の猫様と一緒に暮らしています。無防備になったお腹に顔をうずめ、猫吸いをさせていただくのが至福の時間。 猫様との暮らしにまつわる情報をお届けします。